文章以外の引用はしちゃいけないの?
Posted by yoosee on Text at 2005-09-22 23:42 JST1 著作権法的には引用が可能なのは文章のみ ?
otsuneさん のところより。えー、本当ですかこれ。著作権法ではブログや個人サイトなどで多く見かける、CDジャケットや本の表紙または商品などの画像をよそのサイトからいただいてきて勝手に載せるのは、やっちゃいけない初歩的な厳禁事項なはずなのに、最近は知られてないのかな?
(中略)
実はなんと! 文章以外の著作物の「引用」は一切認められてないのだ、今のところ。
とだけ書いてあって、引用が可能な著作物は文章のみ、という話は書かれていない。公式な慣例とは(引用)
第32条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
を満たすもの(WikiPedia - 引用)とされるので、別に文章以外にも適用可能に見える。
- 著作物を引用する必然性があり、また、引用の範囲にも必然性があること。引用先が創作性をもった著作物であることが必要。「次のような文章がある」として、あとは丸写しにしたようなものは、引用には当たらない。
- 質的にも量的にも、引用先が「主」、引用部分が「従」という関係にあること。
- 本文と引用部分が明らかに区別できること。
- 引用元が公表された著作物であること。
- 出所を明示すること。(著作権法第四十八条)
2 画像引用の範囲
少し探してみたら、ARTIFACT にそのままな記事「画像引用はどこまで認められているのか?」があった。書影やCDのジャケットは、書籍の中身や音楽とは直接関係しない別個の著作物なので、中身に対して言及した場合でも書影・ジャケットについて直接言及していなければ、それらを「引用」出来る条件を満たしてないと言うことのようだ。一方でマンガの内容について言及する際にマンガのコマを引用するのは可能な気がするが、そもそも画像・映像の引用については判例が少なくて判断が付かないという事らしい。ゴー宣の判例はあるが、あれ自体が主義主張マンガであり、それへの反論に必要だったと言うことで、あまり一般化される事例ではないっぽい。これを厳密に適用すると、お菓子のパッケージ写真や酒瓶も NG な気がするが、まぁそこにクレームを付ける著作権者もいないだろう、と言うことで黙認なんだろうな。
これが許されるんならスキャンした画像もいいわけなので、当然 NG なんだろうが、販促になるなら (かつ、そんなのいちいち訴えてたらきりが無い) という観点で黙認されているのが現状らしい。もちろん、買ってきたCDや商品をスナップ写真として載せるのはぜんぜんいいんだけどね。
3 Amazon アソシエイトでの書影・ジャケット画像
ところで Blog で書影などを張り付けている人は、大抵 Amazon アソシエイトを使っていたりするものだと思う。この場合はそもそも「画像を含む広告リンク」が Amazon から提供されているものとして扱われるわけで、常識的に考えれば Amazon が各著作権者に画像利用についての許諾を取っていて、アソシエイトプログラム規約の範疇で使う場合には二次利用者にも利用が認められる、と解釈するのが自然な気がする。アソシエイト・プログラム運用規約 の中に Amazon の持つ素材の利用についての記載がないんだが、Amazon.co.jp 利用規約 ではとあるし、著作権侵害についての申し立てとその手続き と言うページもあるので、Amazon との規約内で利用している分には Amazon が面倒見てくれるという解釈でいいんじゃないかなと思うけど、どうなんでしょうね。まぁこんなの訴える著作権者もいないだろうけどね。当Webサイトに含まれるすべてのコンテンツ(中略)は、Amazon.com, Inc.、またはコンテンツ提供者の財産であり、米国および日本の著作権法、および著作権に関する国際法によって保護されています。
こちらのブログを拝見していて、非常に同意しましたのでカキコ&トラックバックさせて頂きます。
前職で著作権関係のお仕事をさせていただいていたのですが、段々と著作権に関して詳しくなっていきました。
そこで引用の問題に何度かぶち当たる機会があり、その都度「面倒臭いなあ・・」と思っていました。
引用というのは「主従関係」がはっきりしていないと行ってはダメという明確な線引きがあるにも関わらず、画像引用に関してはほとんど判例がない。これは問題だと思いました。実際、著作権のある画像を平気で掲載しているサイトをよく見かけます。
「危ないなあ・・」と思いつつも、判例がないので、なんとも見解が曖昧になってしまうのが現状ですよね。