Google は YouTube と言う「世間の合意」を買ったのではないか
Posted by yoosee on Web at 2006-10-14 23:42 JST1 GoogleがYouTubeを買収 | スラッシュドットジャパン
既に旧聞の類だしもっと良い言及をしている人も多いだろうが、自らの記録としてひとつ考察してみる。YouTube の買収で Google が欲しかったのは、「(動画を含めた)情報が共有されるのが当然という世間的合意の雰囲気」なのではないだろうか。YouTube が現在のやり方を今のままでこの先何年も維持できるかといえば、正直無理じゃないかと思う。現時点で CM やプロモーションビデオを流し始めた企業はあれども、抱える著作権リスクは膨大だし、回線帯域とインフラも拡大する一方で、かつ収入モデルには乏しい(余談だがこれは 2ch も似ている気もする)。
このまま行けば YouTube が潰れずに存続しつづけられる可能性はあまり高くないだろう。そしてこれだけ盛り上がった代表的サービスが一度潰れることにより、「動画を共有する」と言う現象自体に大きなマイナスの影響を与えてしまうだろう。一旦これが崩れたとき、既得権益を持つ企業はもう一度、ビジネスの防御を固めてしまうのでは無いか。
Google は YouTube の抱える問題の解決策、「著作権問題への対処部隊」「回線とインフラ」「収入モデル」を既に持つ企業であり、YouTube を食わせていくには最も適した環境のひとつに思える。
そして「あらゆるものを検索可能にする」と言う Google のポリシーにとって、Web・書籍・音楽と並ぶかそれ以上に映像は重要な対象のはずであり、今回 Google が買ったのはこの先何年もの「全てが検索可能になる」と言うビジョンの一部ではなかろうか。
そんなわけで、Google は YouTube と言う「将来にわたる世間的合意」を買ったんじゃないかと感じた。資産状況や収益モデルを特に考えずに書いているので 16億ドルが高いか安いかは特に考慮しないけど、上記のような理由があるのだとすれば、高い買収金額は世間へのアピールと言う意味も持つ。つまり Google は「動画を含めた情報共有はこの先の未来のスタンダードであり、Google はこれだけの額を投資する程の期待とビジョンを持っている」と提示をしているのかもしれない。