*1  MIAU - Movements forInternet Active Users

日本語名は「インターネット先進ユーザの会」とのこと。今のところは著作権侵害の非親告化への対応が主活動になるようだ。将来的には EFF 的なポジションを狙うんだろうか。

個人的にはこうした「ネットユーザの代表となる政治組織」はあって然るべきだと思うし、まずは旗持ちとして存在するだけでも意義は高いと思うが、政治的圧力を持った団体まで育てるのは至極大変そうだ。ふと思いつくだけでも
  • 代表すべき声が発散しがちで捉えにくく、下手すると敵にまわりかねない
  • 組織存続コストをペイするための収入源を確保する必要がある
  • 利害共有団体(特に企業)との調整や協力をきちんとできるのか
  • 政治方面へ圧力をかけていくならそっち方面のコネやノウハウも必要
と言ったあたりが浮かぶ。全てを最初から達成する事は出来ないだろうから、まずは組織概要にある活動内容のうち
インターネットおよびデジタル技術に関わる法制度に関する正確な知識の供給MIAU : 組織概要
これをタイムリーにやってもらうのが嬉しいかなと思う。ネットで時々に盛り上がる法的問題に関して「とりあえずMIAUを見れば正確な知識が得られる」と言う状況を目指すのが好ましいのではないかと。もちろんこれには法曹界の人材の協力が不可欠だけど、それは大丈夫みたいだし。
あとはひたすら透明性を保っていけば、意外と酷いことにはならないような気もする。特に根拠はないけど。

なんにせよ、これだけ苦労が目に見えておりかつ必要性が高いこの組織を立ち上げた発起人には尊敬の念を覚える。当然頑張って欲しいし個人的にも協力出来そうなことが出てくれば今後考えていくが、まずは Google:MIAU 検索結果でネコの写真を抜くのが先かなと思わないでもない。

Winny裁判判決についての所感

Posted by yoosee on News at 2006-12-15 23:42 JST

*1  「ウィニー」裁判、判決要旨 - asahi.com

ウィニーを開発した金子氏に150万円の有罪判決が下った。 この判決をざっと読むと、「技術に罪は無い」としつつも「犯罪に使われていることが明白(と裁判官は判断している)な状況で開発を続けたこと」に対して罰金刑を課すと言う形になっている。

正直言ってこの判決自体にはさほど違和感を覚えないし、社会的影響を考えた上では「ああ罰金刑でしかも150万円程度で収まったか、裁判官も考えてるな」と思ったには思った。恐らくソフトウェアエンジニア以外の人にはむしろ軽いと思える判決かもしれない。

ただ一方、日本はソフトウェア産業が本当に育っていない国であり、そこを強化しようという国策が発せられている国でもある。その観点から見ると、この判決はソフトウェアエンジニアの、それも世界に通用するものを作れるレベルの人たちに「ソフトを作るときには社会的影響を考えないと逮捕される可能性があるよ」と警告を発する物になっている。

当然これは(実際の逮捕の可能性が殆ど無いにしても)開発者のモチベーションを著しく削ぐものだ。そうしたエンジニアは「なんか面白いものを作りたい(その後の始末なんてシラネ)」と言うものがモチベーションの根幹にあろう事を考えると、これが開発を投げ出す致命傷になる可能性もある。

正直言って「日本版情報大航海プロジェクト」云々に百億つぎ込むくらいなら、金子氏のために精鋭弁護団を(もちろん今の弁護団の能力が足りないと言う話では無いが)組んだ方がよほど国益にかなったのではないかと思う。

もちろん今回の判決は「現行法」のなかでの解釈なので、今後に関してはこうした問題が起こらないような法整備をすることで国益に叶う体制を作れる可能性はある。とは言え日本政府がこの手の話に首を突っこんでロクな事になった試しが無いという過去を考えれば望み薄な気もしてしまう。

ちなみに Winny はその匿名性を守るという観点からソースコードが公開されないまま金子氏1人によって開発されたのだが、もし仮にこれがオープンソースで複数の(おそらくは匿名を含む)人間が開発に携わるモデルならばどうなったのだろう。全員が逮捕されるのか、特定のコードを書いた人だけが問題なのか、それともプロジェクトリーダーがまとめて責任をかぶるのか。まして開発者が日本に限らない場合はどうするのだろう。 もちろん今回の判決はそこまで考えたものではないのだろうが。

*1  小畑健が 8.6cm のナイフ所持で銃刀法違反逮捕らしい

「デスノートの作者が逮捕」なんて記事があると思ったら、銃刀法違反らしい。
小畑容疑者は6日午前0時45分ごろ、練馬区大泉町の都道で、乗用車内に折り畳み式のアーミーナイフ(刃渡り8.6センチ)1本を所持していた疑い。車のヘッドライトを消したまま走行していたため、同署員が職務質問した。銃刀法違反:「デスノート」の漫画家逮捕 ナイフ所持容疑−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
まぁ深夜0時過ぎにヘッドライトを消した車に職務質問して 8.6cm のナイフを見付けられたら警察が怪しむのも無理はないけど、逮捕と言うのは個人的に感じる限りではやりすぎに思える。

*2  銃刀法による所持と携帯のルール

さてこのニュースを見て、銃刀法では 8.6cm のナイフでも駄目なのかと少し調べてみた。銃刀法の法文面や解説を読むと、概ね関係がありそうな部分は以下のようになるらしい。
  • 刃渡り15cm以上の刀剣類・あいくち・飛び出しナイフは許可無しの所持が違法
  • 包丁やナイフ等の刃物の場合、所持に制限はない
  • 刃体が6cm以上の刃物は正当な理由のない携帯不可
  • 刃体が8cm以下の一部の刃物(鋏・折り畳みナイフ等)は正当な理由があれば携帯可
  • つまり 8cm 以上の刃物は理由があろうと全て携帯不可
  • 刃体が6cm以下であっても理由のない刃物の携帯は軽犯罪法違反を問われる可能性がある
ここでの刃体は、刃の付根から先端までの長さと思っていいようだ。携帯時の理由は「普段から持ち歩いている」「緊急時用」と言うのは駄目で、「仕事で毎日使う」「これからキャンプで使う」などの明確な理由が必要だそうだ。実際に秋葉原あたりは取締が厳しいらしく、小畑健逮捕に見る、ナイフ所持に言い訳が出来ない現実について - 神聖マルチ王国 にもそうした事例が何件か載せられている。

ちなみにこれを読んで、手元にある Leatherman Wave のナイフの刃体を測ってみると丁度 8cm 程度。測り方次第では数mm越える可能性もある。つまり小畑さんが持っていたのもこの程度の日常で使われるツールだったと思われる(しかしこれ、8cm 以上の刃物を店頭で買って持ち帰るのも違法だよね…)。

*3  ナイフを持っているときに職務質問を受けたら...

とりあえず、不意にナイフを持っているときに職務質問を受けたりした場合、「職務質問されても所持品の開示は任意だからナイフ持ってたら見せるな(但し理論武装が不十分だと逆効果にもなりそう)」「見つかったものが6cm以下ないし8cm以下の折り畳みナイフの場合は明確な用途を言う(仕事で毎日使う、これからキャンプに行く、等の具体的なもの)」あたりになるだろうか。結局持ち歩かないのが警察から身を守るためには一番安全なのだろうけど。

しかし「災害に備えて小さいナイフを持ち歩くと便利」という話もあると思うし、ナイフって実際持っていると便利なシーンは意外と多いものなんだけど、ねぇ。

*1  著作権法的には引用が可能なのは文章のみ ?

otsuneさん のところより。
ブログや個人サイトなどで多く見かける、CDジャケットや本の表紙または商品などの画像をよそのサイトからいただいてきて勝手に載せるのは、やっちゃいけない初歩的な厳禁事項なはずなのに、最近は知られてないのかな?
(中略)
実はなんと! 文章以外の著作物の「引用」は一切認められてないのだ、今のところ。
えー、本当ですかこれ。著作権法では
(引用)
第32条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
とだけ書いてあって、引用が可能な著作物は文章のみ、という話は書かれていない。公式な慣例とは
  1. 著作物を引用する必然性があり、また、引用の範囲にも必然性があること。引用先が創作性をもった著作物であることが必要。「次のような文章がある」として、あとは丸写しにしたようなものは、引用には当たらない。
  2. 質的にも量的にも、引用先が「主」、引用部分が「従」という関係にあること。
  3. 本文と引用部分が明らかに区別できること。
  4. 引用元が公表された著作物であること。
  5. 出所を明示すること。(著作権法第四十八条)
を満たすもの(WikiPedia - 引用)とされるので、別に文章以外にも適用可能に見える。

*2  画像引用の範囲

少し探してみたら、ARTIFACT にそのままな記事「画像引用はどこまで認められているのか?」があった。書影やCDのジャケットは、書籍の中身や音楽とは直接関係しない別個の著作物なので、中身に対して言及した場合でも書影・ジャケットについて直接言及していなければ、それらを「引用」出来る条件を満たしてないと言うことのようだ。一方でマンガの内容について言及する際にマンガのコマを引用するのは可能な気がするが、そもそも画像・映像の引用については判例が少なくて判断が付かないという事らしい。ゴー宣の判例はあるが、あれ自体が主義主張マンガであり、それへの反論に必要だったと言うことで、あまり一般化される事例ではないっぽい。

これを厳密に適用すると、お菓子のパッケージ写真や酒瓶も NG な気がするが、まぁそこにクレームを付ける著作権者もいないだろう、と言うことで黙認なんだろうな。
もちろん、買ってきたCDや商品をスナップ写真として載せるのはぜんぜんいいんだけどね。
これが許されるんならスキャンした画像もいいわけなので、当然 NG なんだろうが、販促になるなら (かつ、そんなのいちいち訴えてたらきりが無い) という観点で黙認されているのが現状らしい。

*3  Amazon アソシエイトでの書影・ジャケット画像

ところで Blog で書影などを張り付けている人は、大抵 Amazon アソシエイトを使っていたりするものだと思う。この場合はそもそも「画像を含む広告リンク」が Amazon から提供されているものとして扱われるわけで、常識的に考えれば Amazon が各著作権者に画像利用についての許諾を取っていて、アソシエイトプログラム規約の範疇で使う場合には二次利用者にも利用が認められる、と解釈するのが自然な気がする。アソシエイト・プログラム運用規約 の中に Amazon の持つ素材の利用についての記載がないんだが、Amazon.co.jp 利用規約 では
当Webサイトに含まれるすべてのコンテンツ(中略)は、Amazon.com, Inc.、またはコンテンツ提供者の財産であり、米国および日本の著作権法、および著作権に関する国際法によって保護されています。
とあるし、著作権侵害についての申し立てとその手続き と言うページもあるので、Amazon との規約内で利用している分には Amazon が面倒見てくれるという解釈でいいんじゃないかなと思うけど、どうなんでしょうね。まぁこんなの訴える著作権者もいないだろうけどね。

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