*1  PLATFORM WATCH グーグルが奪う「本質を考える力」

課題を決め,レポートの提出を求めると,教科書や参考書などの文献を読まずに,検索エンジンで入手できる範囲内の情報だけを,加工もしないで切り貼りしてレポートを仕上げてしまう。検索エンジンを使って情報を集めるから,難しい技術用語とその概要は良く知っている。しかし,課題の要求していることが何であるかを理解・把握・明確化し,識別し,一歩踏み込んで文献を調べ,熟考し,結論・予測を導き出し,評価し,自分の言葉で記述・表現し,説明・伝達する,という科学的プロセスを行なわない。プロセスを伴わない勉強では本質を把握できない。PLATFORM WATCH グーグルが奪う「本質を考える力」

これを読んで違和感を感じていたのだがいまいちまとまらないのでつらつらと書く。

Google を頻繁に使うようになって分かったのは、大抵のアイディアは世界の誰かが既に思い付いているという事。同じく大抵の問題は、分野や業界にもよろうが、どこかの誰かが解いていることが少なくない。
世界全体で生産性をあげるには車輪の再発明は少ない方が好ましく、そのためには先例をなぞるのが手っ取り早い。いわゆる「ググれ」と言う単語がこれを端的に表している。

もちろん検索結果の模倣だけでなんでもうまくいくわけでは無い。似たケースがあっても自分のケースではうまくいかないことも多く、そうした事例を重ねながらも問題解決を続けるうちに、自然と理解は深まるものだ。大切なのは調べ方では無く、「同じ分野を掘り下げ続けること」じゃないだろうか。

模倣の先に本質を見付けられるのは、毎回似たような事をやるのに飽きて「もっと効率のいい方法は無いのだろうか」と考えるようになったときだ。プログラマの三大美徳に「無精」「短気」「傲慢」と言うものがあるが、この「無精」は本質を得ようとする動機となるものだと思う。本質をひとつ学んでおけば、その応用はたくさん効くものだから。

そしてこうした掘り下げを続けていれば、いつか「誰もまだ思い付いていないか、もしくは思い付いていても解決できていない」事に突き当たる。その時こそが「本質」を理解しているかどうかが試されるときだろう。

*2  余談 - 検索結果を丸写ししたレポート対策

丸写しレポート問題は過去にもARTIFACT@ハテナ系 - 丸写しレポートとの戦いなどで話題になっていた。「レポート丸写しが困る」と言うのであればデジタル的にそれを検出する方法を見付けるのが手っ取り早いのではないかと思うが、そうした方法を取るのが難しいにしても、「先生も検索エンジンでレポートのテーマに付いて検索する。君たちの出したレポートとそうした検索結果が9割方同じである場合、遠慮無く単位を落とす」と宣言するのはどうかな。学生も、せめて文面だけでも変える努力をするんじゃなかろうか。
丸写しでなく内容を読んで自分の言葉で書き写すだけでも、内容に対する理解度の具合は相当に違ってくると思うのだけど。まぁ私も真面目な学生だったとは言いがたいので、あまり丸写しに関して否定的な事を言いにくいという心情はあるかも。

( Permalink | Comments (2) | tags: google  )
Comments
1. スズキシゲヲ at 2007-02-08 10:21
丸写しするだけじゃ答えになっていない問題にすればいいんじゃないでしょうか?
そうするとそれを評価する人間の労力も増えますがw
2. yoosee at 2007-02-08 18:39
過去の議論を見ると「そもそもレポート課題を粗雑に乱発するから丸移しが発生するんだよ」論もあるようで、先生の方も努力は必要と言う感じですかね。私も「毎週実験やってレポート」なんて授業では友達と協力せざるを得なかったわけで、あれを一人でこなせた人ってどれくらいいるんだろう。

そう言えばレポートの書き方を解説したサイトは多いけど、レポートの出し方を解説したサイトや書籍って殆んど見た事が無いな。

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