LPレコードは本当にCDより優れた特性を持っているのか?
Posted by yoosee on Misc at 2007-09-02 22:00 JST1 ( ;^ω^)<へいわぼけ: レコードのほうがCDよりも音がいいとか言ってる奴は耳が腐ってるんじゃねーの?
「音が良い」「音が悪い」と言う話は基本的には個々の主観だし、すぐに宗教論になるので議論する気はない。好きな媒体と好きな構成で聴けばいいし、それを他人に押し付けるような話でもない。それを踏まえた上で個人的にずっと気になっているのは、そもそも LPレコードは高周波帯域において、CD (〜22kHz) より優れた再生周波数特性を持っているのかという、物理特性に関する疑問だ。ものによっては「原理的には 〜50kHz まで再生できる」とするものも見かけるが、あんな円盤の凹凸を有限の大きさを持つ針でピックアップするなんて仕組みで、そこまで高い情報量を持つ・取り出せるのだろうか。
この手の情報を過去に何度か探したが、探し方が悪いのかきちんとしたデータは見つけられてない。参考までに、金属針の代わりにレーザーを読み取りに利用した レーザーターンテーブル では
普通の針で直径10μm(78μm2)、シバタ針で4μm(17μm2)であるところ以上の読み取り解像度を持つとしている。この説明が本当だとして、かつこの製品の再生可能周波数帯域が 20〜20,000Hz±3db(LP record)であることを考えると、LPレコードの持つ情報量は上限でも CD と同程度の 20kHz ではないのか。
レコード針のカートリッジ仕様を色々と見てみると、例えば DENON DL-103R と言うレコード針の再生周波数帯域は仕様上 20Hz-45kHz となっている。これは前述の 〜50kHz と言う数字に近く、そうしたポテンシャルはあるのかもしれない。とは言えそもそも世の殆どのカートリッジでは概ね 〜20kHz となっており、この時点で CDと比べて高周波帯域の再現性に大きなアドバンテージはない。
もし仮にLPレコードが本当は高周波帯域に情報量を持たなくても、「CD では 22.1kHz で高周波数帯域をばっさり切っているので不自然に聴こえ、LPレコードでは同帯域が自然に減衰するのでより聴こえ方も自然になる」といった理由付けは出来るのかもしれない(この場合、100kHz 程度のレンジを持つ SACD や DVD-Audio が更に優位に立つわけだが)。またもしかしたら「情報は無いけれど実際に(録音者が意図したものでは無い)高周波の音が出ているので人間には自然に聴こえる」と言う話なのかもしれない。
まぁ何より謎なのは「LPレコードの音はCDより温かく聴こえる」と言う奴だが、この辺はもう完全に主観表現の話なので特に突っ込まない方が良さそうだ。それはともかく個人的に不思議なのは、他の面では実験的事実を気にする理系分野の方々にも「LPレコードは音がいい」と言い切っちゃう人を少なからず見かける事なんだが、これも突っ込まない方がいい話か。