*1  Palm Announces New Linux Based Mobile Platform

Palm CEO Ed Colligan officially announced that Palm will deliver a new Linux and open source based mobile computing platform combined with Palm OS Garnet technology on new products later this year. Palm Announces New Linux Based Mobile Platform
以前から噂されていた通り、Palm Inc. も ACCESS ALP とは別の Linux ベースプラットフォームを開発していることを正式に発表したようだ。日本語記事では ITmedia News:Palm、Linuxベースの新OS採用へ 等が詳しい。

基本的な構造は ALP と似ていて、ハードウェア制御をふくめたベースOSとして Linux を使用し、その上に Linux native アプリケーションと PalmOS (Garnet) 互換の動作環境 (PACE) が載る形になるようだ。Garnet のソースコード改変権を含むライセンス取得も、当然この伏線だろう。ALP と比べてアーキテクチャや性能的にどうかというところは不明だが、Opera が搭載されるであろうと言うことを含め、WiFiや携帯電話のデータ通信を使ってWebサービスの利用やリモートバックアップ等も行える、ネットワーク指向の強いデバイスになるであろう事があげられている。今までそうしたことが気軽に出来なかったフラストレーション解消かもしれない。

なにより嬉しいのは今年後半には製品が出荷されるということで、特に個人的にはこの手の「手に馴染むデバイス」はハードウェアとソフトウェアが密接に設計思想を共有していないと良い物を作りにくいと思っているので、Palm Inc. が再び一社体制で開発してくる新デバイスは大いに期待して待ちたい。11日に開設された Palm Inc. official blog にも情報が載ってくるだろうか。

*1  Palm Licenses Palm OS Garnet Source Code

Palm Inc. が PalmSource を所有する ACCESS から、PalmOS 5.x Garnet (現行の Palm, Treo に乗っているもの) ソースコードのライセンスを 4,400万米ドルで取得。
ACCESS has granted Palm specific rights to modify the code base of Palm OS Garnet for use in its devices such as the Palm Treo smartphone family and the company’s other handheld computers. Palm Licenses Palm OS Garnet Source Code
Palm Inc. はこれで Garnet ソースコードの無制限な変更・機能追加が可能となる。また同時に同社は Garnet の永続利用ライセンスも取得したようだ。一応は将来的な ACCESS の ALP 上でのエミューレーション互換性を取るために、Palm Inc. と ACCESS は開発協力をする、と言うことになっている。

正直これは、いつまでたっても望むような OS を出してくれない PalmSource/ACCESS に対して、Treo の新商品を出していきたい Palm が「もう改善も改良も自分達でやるからコードよこせ!」と、しびれを切らした感じに見える。これで Palm Inc. と ACCESS は完全に袂を分かつことになるのか、それともPalm が ALP で再び ACCESS と手を組むことになるのか、興味は尽きない。

それにしても元来の Palm Inc. は下手に分社したお蔭で、Palm 商標権といいこれといい、余計なキャッシュを払いまくっているような...

ACCESS の ALP @ Linux World SF

Posted by yoosee on Palm at 2006-08-22 23:42 JST

*1  Palminfocenter - Access linux platform at LinuxWorld SF

PalmSource を買収した ACCESS が発表した ALP (ACCESS Linux Platform) だが、SF にて開催された LinuxWorld で実機 (Haier N60 flip-phones) による ALP 動作デモが行われたようだ。また Linux Desktop 上のエミュレータ (UML 上で ARMをエミュレーション) でも動作している。デモでは PalmOS Garnet や GTK native なアプリの他にも MAX フレームワークでの PIM アプリ等も実働していたようで、以前のリリースプランでの2006年末に向けての開発は今のところ順調に見える。現時点での ALP についての情報(記事からの抜粋)を以下に挙げる。

*2  PalmOSエミュレーション

PalmOS Garnet (OS5.x) アプリはエミュレーションとして動作するが、動作再現性は高いようだ。ブースでは Compatibility Station にて Palmware の互換性確認が可能で、「(記事の)筆者と他2人のデベロッパが試したアプリは全て問題なく動作した」としている。Bejeweled!2 でも問題なく動いているので、速度的な問題は小さそうだ。

気になるのは「PalmOS Garnet アプリの起動時には Palm のロゴマークが1,2秒間表示された」という話。アプリ起動に時間がかかってしまっては PalmOS の魅力半減なので、ここは改善されることを期待したい。
また QVGA(240x320)機の場合、下の 240x80 の領域が利用されていなかったようだ。T|T3やTX のように DIA として利用できるのかは現状不明としている。

*3  アプリケーションランチャ

ランチャは現状の PalmOS に類似(1画面に 9個のアプリアイコン)するかたちで提供されている。もちろんこれは標準ランチャなので、3rd party のものも使えるのだろう。どのアプリ(MAX,PalmOS5,Java,GTK+)も同じ画面上にアイコンが表示されるのは、シームレスな利用という点で好ましい。

また(MAXアプリでは?)端末を通して統一的にテーマが適用され、テーマ選択によって配色・フォント・ボタン形状・背景画像が変化するとしている。PalmOS Garnet でも幾つかのシェアウェアを利用すれば実現出来ていることだが、標準機能としてこうした外観の変更があるのはカスタマイズして使うことが主となる PDA/Smartphone では好ましい機能だろう。

*4  MAXアプリケーション

ALP では QVGA や VGA をはじめとした複数の解像度の端末をサポートするため、MAX では Scalable Vector Graphics により解像度が異なる端末でもなめらかに UI を表示する事ができるとしている。当然フォントも Scalable な TrueType などになるだろう。動作速度が多少心配だが。

既に MAX アプリの PIM が動作していたようで、動作は基本的に機敏だが、一瞬待たされる感があるそうだ。まだ OS/Platform が出来たばかりで、上物のアプリに関してはこれからなのだろう。Webブラウザは (ACCESS 故に) NetFront が提供される。特徴として「ブックマークサイトをサムネイル表示可能」と言うものが挙げられていた。個人的には Flash や JavaScript の再現性が気になるところだが。

*5  マルチタスク

ALP で最も PalmOS から大きく変化する部分となる。マルチタスク機能自体は、Linux が基本OSのため、恐らく大きな問題はないだろう。特徴的なのは アプリケーションの標準動作は現行のPalmOSと同じく「他のアプリの起動時に終了」する というもの。この挙動は現状の Windows Mobile 等の先行するマルチタスクPDA用OSとは異なるものになる。もちろんこの場合、アプリが高速に起動することが絶対条件になるだろう。

ソフト開発者は、他のアプリ起動時に自アプリが終了するのかバックグラウンドで継続的に動作するかを個々に決めることができる。これにより PalmOS と同様、余計なリソースが複数アプリで利用され続けられることを防ぐ、としている。バックグラウンドにまわるのは、主に通信アプリ(IMなど)や音楽プレイヤーが想定されているようだ。

バックグラウンドのアプリはポップアップなどのアクションを起こすことが可能なので、常駐させたアプリが「メール受信の通知」を出すと言うことも可能のようだ。バックグラウンドのアプリはステータスバーにアイコンが表示され、そこから DA のような小さなポップアップを出すことが可能としている。例えば音楽プレイヤーの [再生/停止] のツールを呼び出すことなどを想定しているらしい。

*6  その他の特徴

ハードウェアとしては QVGA(240x320) をメインターゲットとするようで、現状の PalmOS デバイス 320x320/480 から交代することになる。OS としては VGA(480x640) 以上もサポートするので、どちらかと言うとハードウェアベンダ側の判断になるだろう。

HotSync は OMA 標準互換となり、インターネット経由の同期や WiFi 経由でのバックアップが可能になっている。

*7  以上を踏まえてのALPについての雑感

2006末の開発ベンダ向けリリースに向けて、思っていたより順調に開発が進んでいるように見える。元々の PalmOS の利点はなんといっても豊富な Palmware と素早い動作だろうから、エミュレーションが問題無く動作しているという報告は朗報だ。またマルチタスクに関しての「新規アプリ起動時に元アプリが終了」と言う標準動作は、限られたりソースを有効に使うのによい戦法に思える。問題はアプリ切り替え時の「起動速度」が PalmOS のように長くても 2,3秒以内に押えられるかどうかだろう。

どちらにしても次の段階は Hardware Developer の動向になる。特に Palm Inc. が Garnet の後を担う世代に何を使うかは大きなポイントになるだろう。私としては Windows Mobile のみと言う状況に流れない事を祈るばかりだが、さてどうなるか。

Palm と Xerox が Graffiti 裁判で和解

Posted by yoosee on Palm at 2006-06-30 23:42 JST

*1  Palm and Xerox Settle Graffiti Dispute

Graffiti1997年に始まり、Palm が 2年前に勝訴した後に更に再審査と言う流れになっていつ終わるんじゃ、と思っていた Xerox と Palm の Graffiti 裁判だが、Palm が Xerox に 2,250万ドルの支払いをすることで和解になったらしい。結局は Unistroke の特許を半ば認めたと言うことになるのだろうが、Xerox 側もこれ以上訴訟を長引かせて費用がかかることを嫌ったようだ。

ところでこれで旧 Graffiti 1 を含めてパテントのライセンスが認められた形になるが、Graffiti 1 は復活するんだろうか。Graffiti 2 とソフトウェア的に切り替え可能と言った形になるのが美しいと思うのだが、どうなるだろう。Graffiti 1 library や TealScript で逃げなくても良くなれば嬉しいのだけど、2年前の勝訴の時点でも特に方針変更はなかったし、そもそも PalmOS (ないし ALP) 搭載の最新機種はどうなるんだと言うところから怪しいような気もするのではてさて。

Palm Inc. が独自OSを開発中?

Posted by yoosee on Palm at 2006-03-30 23:42 JST

*1  is Palm building their own OS?

アナリストのコメントによると、Palm Inc. は自社製品に搭載する Linux ベースの OS を独自に作成している可能性が高いらしい。PalmSource が ACCESS に買われた今、ALP が Palm Inc. の望む形で出てくる保証はどこにも無いわけで、むしろ ACCESS は出資元の DoCoMo が望む携帯電話用 OS として特化してくる可能性も高い。なので Palm Inc. が自分達のために独自 OS を開発するというのはそれなりに筋が通った話に聴えるし、開発する能力もあるだろう。

個人的に興味があるのは現 PalmOS の権利はどっちが持っているかと言うことだが、普通に考えればは当然 PalmSource なはずだ。Palm Inc. は自社独自の (Linux Base) OS を作ることになるのだろうか。それとも互換動作レイヤの部分 (PACE?) だけライセンス提供を受けると言うことになるだろうか。資産を考えたら後者だとは思うが、どちらにしても当分先のことになりそうではある。

PalmSource, ACCESS Linux Platform を発表

Posted by yoosee on Palm at 2006-02-14 23:42 JST

*1  ACCESSとPalmSource、「ACCESS Linux Platform」を発表

スラドにローカル書き下し。いやーコンセプト自体は悪くないと思うし、kernel 2.6.12 以上, GTK+, Gstreamer, SQLite, Bluetooth 2.0 スタック、PalmOS arm binary がそのまま動く、と目を引く文字も多いのだが
ACCESSとPalmSourceは、ALP向けソフトウェア開発キット(SDK)を、ライセンシーへ2006年末までに提供開始する予定です。
ライセンシー用 SDK が 2006年末か... いつ出るんだこれは...

PalmOS はまだ終わったわけじゃない

Posted by yoosee on Palm at 2005-10-30 23:42 JST

*1  Palm OS Not Near End of Life

PalmSource (ACCESS) は PalmOS for Linux に焦点を移しているが、現行の Garnet もサポートを続けていく、という話。もう Cobalt は無かったことになってるな。ともあれさっさと Linux 版を出せと。話はそれからだ。

無線LAN搭載の後継機種をなかなか出さなかったのは Cobalt なり for Linux なりの通信機能強化したOS搭載を待っていたからかなと思っていたけど、T|X は結局 Garnet で出てしまったしな。

PalmSource のゆく道

Posted by yoosee on Palm at 2005-05-31 23:42 JST

*1  PalmSourceはどこで道を誤ったのか

WinCE に比べると Palm は完全に割りきった仕様になっていて、それは実は「Palm は PC と同期させて使う。複雑な処理や入力は PC で」と言うものだった。故に Palm は「Zen of Palm」と呼ばれる「シンプルだけど高速に使える」事が中心思想だったし、そのために「ハードウェア性能を一つの操作のためだけに使い切る」事が出来るシングルタスク OS は実装として有利であり、PalmOS は成功を納めることができた。

しかしハードウェアの性能が上がると共に「PDA に求められる機能」はどんどん増えていく。まず「マルチメディアの波(特に音楽再生)」、次に「通信の波」が Palm を襲った。初めの波は SONY の力で無理やり乗り切った Palm だが、次の波を乗り切るための装備(完全なマルチタスク)は未だに不十分、と言う悲しい現実があるわけで、未だに Cobalt 搭載機種は世の中に出ずに今日に至る。BeOS の買収から準備する時間はあったはずなので、これは Palm の技術・戦術の失敗と言われても仕方がない。

*2  Palmはどこに行くのか

ここで挙げられている「今のOSを使おうと思うと、もっと良さそうな次のOSの情報が漏れてくる」と言う駄目なスパイラルは、Palm Inc. が新しいハードウェアを投入する際にも「今のデバイスを買おうと思うともっと良さそうな次のデバイスの情報が漏れてくる」と言う事を何度もやって失敗している。教訓というものがないのか…。しかし「Linux 上のアプリにすることでハードウェア対応を用意にする」「マルチタスクOS化する」と言う目指す方向性自体は悪くないと思うので、新OS上で既存の膨大な Palmware と言うリソースを生かすことができれば未だ生き残る道はあるんじゃなかろうか。PalmOS v6.1 Cobalt が早く世に出て世間の評価を受けるのをまずは待ちたい。

PalmOS Cobalt と Garnet の話

Posted by yoosee on Palm at 2004-02-11 23:42 JST

*1  PalmOS6 "Cobalt" と PalmOS5 "Garnet"

/.J の記事 にもなったが、PalmSource のプレスリリース によると、PalmOS5,6 の新しい名前として "Garnet", "Cobalt" が決まったようだ。元々 PalmOS6 は現行の PalmOS5 から大きく変化して「マルチタスク OS」になる予定だ。しかしそれ故、ハードウェアへの要求条件は格段に高くなる。低価格端末を出すためには PalmOS5 も残したい、と言った プラットフォーム展開上の戦略 があり、今回のような別系統でのリリースという形になったようだ。PalmOS6 に関しては、既存の Tungsten|C でのテストが行われているという噂 もあり、一部 スクリーンショット も公開されているようだ。

*2  Cobalt の行く道

OS5 "Garnet" は基本的に既存 PalmOS の延長線であり、現行の 5.2.1 と比較しても目新しい点はさほど無い。対して Cobalt は過去に PalmOS6 の新機能 でも書いたが、BeOS の技術を引き継いて全く新しく書き下された「マルチタスクOS」になっている。/. にて Details Of PalmOS6 - 'Cobalt' として取り上げられた、PalmInfocenter の PalmSource Introduces Palm OS Cobalt and Garnet から、興味深い点を読みとってみよう。

PalmSource の CEO である David Nagel の話によれば
Palm OS Cobalt は、コミュニケーション、企業活動、教育、そして娯楽といった分野での、モバイルの新たなデバイスやソリューションを作り出す道筋となる。
そしてまた Cobalt と Garnet ともに、スマートフォンや様々な機器でのワイヤレス通信プラットフォームとしての最適な解を提供する事になるだろう
と、華々しい未来を宣言している。PalmOS6 は 2001 年に買収した BeOS からグラフィック・マルチメディアの機能を受け継いで、全く新しく書き直されている。主な新機能としては
  • マルチタスク・マルチスレッド
  • メモリ保護
  • 大容量 RAM/ROM や大画面のサポート
  • 標準化されたセキュリティ機能(SSL等?)の搭載
  • 同時並行利用が可能な通信機能やマルチメディア再生機能
等が挙げられているのは以前にも書いた通りである。

*3  新しい Palmware 開発環境

開発環境は既に PalmOS Dev-Zone の Resource Pavilion で preview 版が公開されている。開発環境は基本的に Eclipse 環境で用意され、CodeWarrir, Eclipse, Borland tools, AppForge の MS .NET 互換環境も利用可能にする予定のようだ。PalmSource Inc. は自分の OS/デバイス を魅力的にしてくれるのはその上で動作する Palmware だと分かっているはずで、preview の迅速な公開や Dev-zone での情報開示など、開発者のサポートは丁寧に見える。Cobalt が提供する今までよりも遥かに豊富な機能をどう使いやすい形で開発者に提供していくかも、PalmSource の真価が問われる一面と言えそうだ。

*4  Cobalt の深部

更に、詳しい Cobalt の個々の機能について記載されている部分を追ってみる。
マルチスレッド、マルチタスク
現在シングルタスクの PalmOS のマルチタスク化。これにより複数アプリケーションを同時に利用することが可能になり、ユーザの使用感が向上する。特に現在は、アプリケーションを切り替ると通信中のセッションが切れてしまう。これでは安心して IRC も出来ない... 事はともかく、例えば POP でメールを取り寄せながら、その間に何かする、と言うことは不可能ではないが難しいが、こうした事が普通に出来るようになる。但しマルチタスク化により、当然ながら要求されるハードウェアスペックは跳ね上がるだろう。
メモリ保護技術, 及び 256MB 以上の大容量 RAM/ROM サポート
マルチタスク化にともない、OS レベルでのメモリ保護が実装される。これにより、特に複数アプリケーションを同時利用した際のクラッシュの発生を防ぐ。但し PalmOS が現在持っているファイル構造 - ディレクトリという概念はなく、全てのファイルがフラットに配置され、RDB のようにプロパティで管理される - はそのままのようだ。
セキュリティ機能のOSレベルでのサポート
暗号機能や認証機能の OS レベルでのサポートを行い、特に通信やビジネスユースに要求されるセキュアな接続 - VPN や over SSL 通信等 - を容易に行えるようにする。
モジュール化された追加可能な通信アーキテクチャデザイン
標準化された STREAMS ベースの通信方法やプロトコルをサポートし、複数の通信手段 - 例えば WiFi で通信しながら電話を受ける等 - を同時に行うことが出来る
拡張可能なマルチメディアフレームワーク
リッチな映像・音声メディアを扱うためのフレームワークを提供する。パス, 回転, グラデーション, アンチエイリアス, アウトラインフォント, 透過処理等を OS レベルで処理し、32,000x32,000 までの解像度をサポートする。また ADPCM/PCM, MP3, MPEG1, MPEG4 等の標準的動画・音声技術を容易に扱うことが可能になる
PIM 機能/データ方式の改善
255以上のフィールドをサポートし、MS Outlook との互換性を高める。また個々の PIM アプリは、フォントの大きさなどのレイアウトをシチュエーション - 例えば DIA (仮想グラフィティエリア) の有る無しや、Edit/View 時の違い - にあわせて自動的に調整する事ができる
MS Outlook との互換性の改善
MS Outlook との互換性を高めるために、幾つかの追加フィールドを Datebook や Address Book に追加する。また PC 上のアイコンを Drag&Drop することで用意に PalmOS デバイスに持ち込み、閲覧・編集する事が可能になる。
既存 Palmware の互換性
既存の Palmware に関してはソフトウェアでのエミュレーションを行い、古いソフトでもそのまま動作させる事が可能になる
等になる。この後も Palm 陣営の華々しい宣伝が続くが、基本的には「様々な分野でのモバイル・コミュニケーションに革命をおこす」と言った発言のようだ。

*5  それで結局何が変わるのか

ここまで様々な新 OS Cobalt のメリットが述べられてきたが、冷静に考えれば、殆んどは Linux Base の PDA や PocketPC 等では既に実現されている機能だ。また、『PalmOS はシングルタスクであるが故に、ある時点での全てのリソースを 1 つのアプリケーションに注ぎ込むことが可能であり、故に低スペックのハードウェアでも高いレスポンス性能をユーザに提供することが出来ていた』という面があっただろう。つまりマルチタスク OS 化とは、待ち望まれていたこの先は必須な機能であると同時に、PalmOS の今までの利点も消しかねない危険な進化であると言える。

現在の PalmOS 陣営に長所があるとすれば、まずはこれまでに開発・利用されてきた非常に多くの Palmware だ。それらの優秀な開発者 - 開発力もそうだが、PDA の UI 特性を熟知している人々 - に、どう新しい OS を魅力的に見せるかは大きなポイントになりそうだ。また、もうひとつ大切なのはユーザの快適な利用感を支えている Palm の思想ではないだろうか。過去には「Zen(禅) of Palm」とも呼ばれた「シンプルであること」「軽快であること」の思想は、少なくとも現在の PalmOS デバイスでは死んでいないと私は思っている。そうした思想を残しつつ、新たに要求されつつある「マルチメディアとコミュニケーション」への拡張をどう実現していくか、興味深く見守りたいところだ。

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