*1  ... が日本語は当面文字化けしそう

数日前に書いたPalm Pre があまりに素敵で欲しすぎる件についてで、Gmail では日本語が化けると書いたが、そう言えば少し前のニュースで IMAP IDLE Confirmed on the Pre と言うのが話題になっていたのを思い出した。

この記事自体は「Palm Preのメールクライアントは IMAP の IDLE プロトコルをサポートしているので、IMAP サーバにコネクションを張りっぱなしにしておいてサーバ側から新着メールの Push 配信を受けることが出来る」と言う内容。実際、Palm Pre の Gmail 新着メールチェック間隔設定は "As Items Arrive" と言うのが標準らしい。これはこれで大変素晴らしい機能だが、つまりは Gmail との接続は IMAP とのようだ。

と言うことはやはり、 Gmail に ISO-2022-JP で届いたメールは恐らくそのままの文字コードで Palm Pre 側に配信され、Pre のメールアプリは今のところ UTF-8 しかサポートしてないので文字化けする、と言うことなのだろう。実際文字化けのパターンもそれっぽい。IMAP サーバ側で Proxy を仕込むなりして細工をするか、ISO-2022-JP の文字コードに対応したメールクライアントが出てくれば読めるんじゃなかろうか。

Exchange の場合は文字化けせずに読めるかもと少し期待しているけど、手元の日本語メールを見る限りだと ISO-2022-JP の HTML として配信されているからやっぱり駄目かもしれないし、でもブラウザでは EUC-JP あたりも表示出来るのでいけるかもしれない。誰か試せたら教えてください。なんにしても日本語対応を正式にしてくれれば嬉しいんだけど、米国での日本語って中国語辺りに比べてもマイナー言語だからな...

ちなみに現時点で Palm Pre 日本語表示に関してはHALの不定期雑記 Palm Pre 日本語表示 暫定版 が詳しい。日本での利用に関しては気になるアレマガジン: 日本国内でPalm Preを使う場合に知っておきたいポイント【2009/06/13版】 が詳しいが、Activation の都合で実質 Sprint の使える地域でないと難しいようだ。

*1  Palm Pre launched on June 6th, 2009

Palm Preさて 6月6日に Palm Pre が発売されたわけだが、職場に早速 Pre を買った人がいたので大騒ぎして触らせてもらった (ちなみにこの人が Pre を買った事は「この人が LinkedIn Pre アプリを入れたよ」と言う通知で知った)。10分程度いじっている間に「お前も買うべきだ」と10回くらい言われたが、確かにこれはやばい。大変欲しすぎる。どうしよう。何で今のキャリアはAT&Tなのだ。

まず質感。角の丸い筐体は真っ黒で小さくてすべすべの石と言う感じで、手のひらにすっぽり収まる。思ったより小さいし、角が丸いので余計にコンパクトに感じる。ジーンズのポケットに入れても邪魔にならないサイズが素晴らしい。
スライドキーボードもシャキッという感じで開閉し、ボタンの押し具合は定評のある Treo や Centro と似ていて使いやすい。画素数は iPhone と同じ 320x480 だけどサイズは少し小さい。画面はくっきりした発色で綺麗。

ハードウェア的には 480x320 マルチタッチスクリーン(+ゼスチャーエリア)、QWERTY キーボード、802.11b/g、Bluetooth (A2DPサポート)、GPS、3Mピクセルカメラ(LEDライト付)、8GBストレージ、3.5mmステレオジャック、動画再生可と、今時のスペックとしてほぼ十分に隙が無い。

ウェブブラウザは iPhone 同様に指二本で拡大縮小が可能で、レンダリングはWebKitのおかげか高速な感がある。日本語表示は問題なかったが、フォントはちょっとシャギーな感じになった。借り物なので他のアプリでの日本語表示は試せていないが、Gmail ではそもそも文字が化けるらしい。Exchange でどうなのか気になるところ。この辺りはマルチバイトでもなんの問題もない iPhone にアドバンテージがある。

最大の特徴である「カード」式のマルチタスク管理は大変快適。新規にアプリを立ち上げる際には数秒待たさせるものの、一旦起動してしまえば切り替えは非常にサクサク動く。マルチタスクなので当然、ChatしながらWeb閲覧と音楽再生といった「ながら」利用も快適。センターボタンでシュッと縮小、指でさっとタスクを選んでワンタップでヒュンっと別のアプリに切り替わる。上にスワイプして終了したり、Notification も含めて指先でアプリを操れるのは快感だ。
ゼスチャーエリアからのツールバーもよく出来ていて、特にゼスチャーを使うときにLEDがポッと光るのが、何というか使っていてわかりやすい。「片手で使える」事も意識した作りは、流石モバイルを10年以上やっている企業だと思わせるものがある。

キーボードから文字を入力すると即座に「Palm Pre内のアドレス帳や予定情報の串刺し検索」→「Google や Twitter などのWeb検索」といった具合に Universal Search が動作し、また Synergy でオンラインコンテンツとの自動同期も行われる。串刺し検索や同期(HotSync)は PalmOS でもコアな機能だったが、これがますます使いやすくなっていて気持ちいい。

Palm はあれだけ長いこと古い PalmOS と Windows Mobile の使いまわしで辛うじて生き長らえていたと言う感じだったのに、ここで一気にこれだけすごいプロダクトを出してきたと言うのは本当に感慨深い。以下、メジャーサイトのレビュー。特に Palm が好きすぎる engadget のレビューは動画も含めて熱が入りまくっている。しかし日本ではほとんど話題になってないね。販売予定が無いんだから当然だろうけど、iPhone 3GS なんて (もう完成度が高いのでしょうがないけど) ほとんどマイナーチェンジじゃないか! Pre の方がよっぽど楽しそうなのに!

と個人的には大いに盛り上がっているが、うーん、今の AT&T と別に Sprint と 2年契約するのは流石にためらわれる。2 years contract では 最安プランでも $2,000 近くかかるのである。AT&Tも来年には出してくれるらしいし、年内に別の webOS 端末が出るかもという噂もあるけど、欧州で Unlock 判が $550 くらいでさっさと出てくれないかしらん。

PalmOS 13年の歴史

Posted by yoosee on Palm at 2009-02-17 02:42 JST

*1  PalmOS 搭載デバイスの新規発売終了

ついにこの日が来たかという感じだが、Palm Inc. が現在のPalm OS 搭載デバイスの新規発売終了を宣言した。今後は先日発表された webOS へ専念することになる。 今後、Nokia N810 のような仮想マシン Garnet VM 上での動作はあるかもしれないが、Native な端末はこれで幕を閉じることになる。

Palm Computing 創設からの歴史をまとめた10周年記事に、2006年以降の出来事を加筆した。日本では2005年2月のCLIE撤退でPalmOS端末はほぼ途絶えた形になっているが、海外、特に米国ではスマートフォン Treo や Centro がそれなりのセールスを上げている。また PDA も Tungsten, Zire, Life Drive, TX といったモデルが(これらも終焉したが)販売されていた。Pilot が発売されてから約13年間の活躍であり、PalmOS 搭載端末は 3,800万台以上販売され、28,000を越えるソフトウェアが存在しているという。
年-月Palm の動き関係他社の動き
1992
1992-01Jeff Hawkins と Donna Duversky により Palm Computing Inc. 創設 (創設当時は PDA をターゲットにしたソフトウェア会社)
1993
1993Zoomer用ソフト、Graffiti や Sync ソフトウェアの開発などに参加Apple が Newton, Casio が Zoomer を発売するもあまり売れず。
1995
1995-09U.S.Robotics が Palm Computing を 4400万ドルで買収
1996
1996-03Pilot 1000 リリース。スペックは 128KB のメモリ(Pilot 5000 は 512KB) に 16MHz の CPU、160x160 4階調モノクロタッチスクリーン。シャツのポケットにはいるサイズ、PC との HotSync、Graffiti入力、高速な動作などの基本的な部分はこの時点で出来上がっている。
1996-10 山田達司氏がJ-OS 1.0, 1.1 をリリース
1997
1997-032番目の製品 PalmPilot リリース
1997-053Com が U.S.Robotics を買収
1997-09Palm のプロダクトが 18ヶ月で 100万台の販売を達成
1998
1998-04Palm III 発売。Pilot → PalmPilot → Palm と名前が変遷しているのは日本の文房具メーカー「パイロット」社と商標の衝突があったため
1998-11 Jeff Hawkins, Donna Duversky, Ed Collegan ら Palm Computing 創始メンバーが Handspring 社を創設
1999
1999-02名機 Palm V が発売され、圧倒的な支持を得る。Louis Vuitton や Hermes など高級ブランドも専用ケースを発売。1999-10 にはスペック強化した Palm Vx 発売IBM により日本語化された PalmIII の OEM、 WorkPad 発売。初の日本語化製品
1999-05初のワイヤレス機能搭載 Palm VII 発売
1999-09 HandSpring が Visor を発表。外部拡張の SpringBoard 搭載が話題に
2000
2000-03初のカラーデバイス Palm IIIc 発売Handspring Visor 発売。Palm を越える売上
2000-04Palm 日本法人が日本語化された Palm IIIc, PalmVx を発売開始
2000-05Palm Inc. が IPO 。米国で最も成功した IPO の一つと言われる
2000-06 HandSpring も日本語化された Visor Deluxe を発売
2000-07 Sony が同社初の PalmOS 端末、Clie PEG-S500C/S300 を発売。S500C は 256色カラー、両者ともメモリスティックスロットやジョグダイヤルを搭載
2000- この頃、Sony, IBM や Handspring 以外にも HandEra や TRG, Symbol などが PalmOS のライセンシーとしてデバイスを発売。PDA黄金期
2001
2001-04 HandSpring Visor Edge 日本語版発売
2001-04 Sony PEG-N700C 初のカラーハイレゾ(320x320)デバイス発売、オーディオ再生も搭載
2001-05Palmware が 10,000個を突破
Palm Inc. が Be を買収
2001-09 Handspring 日本法人が国内からほぼ撤退
2001-10 Handspring が最初の PalmOS スマートフォンとなる Treo を発表
2001-12Palm Inc. がハードウェアとソフトウェア事業をそれぞれ PalmSolutions, PalmSource に子会社化
2002
2002-01 Handspring が Visor から撤退
2002-02PalmOS のライセンス・開発を PalmSource に分離Handspring が初のスマートフォン Treo 180, 180g 発売
IBM が WorkPad から撤退
2002-09Palm 日本法人が国内販売から撤退
2002-10Palm Tungsten と Zire をリリース。Tungsten は同社初の ARM/OS5/ハイレゾデバイス。Zire は 18ヶ月で 300万台のセールスを記録Sony が世界初の PalmOS5 機 PEG-NX70V 発売。ARM アーキテクチャの XScale (200MHz) 搭載
2003
2003-06Tungsten T が登山家と共にエベレスト山頂に到達Handspring がスマートフォン Treo600 発売
2003-10Palm Inc. は HandSpring を買収し、PalmOne に改名。同時に PalmSource へ独立分社化。
2004
2004-02PalmOS Cobalt (6.0)発表 (搭載端末は最終的に無し)
2004-05Xerox との Graffiti 訴訟に勝訴
2004-06 Sony が CLIE 海外市場からの撤退を発表
2004-10Treo 650 スマートフォンをリリース
2005
2005-02 Sony が日本国内市場からも CLIE 撤退を発表し、PalmOS から完全撤退。最後のデバイスとなったのは有機ELを搭載した PEG-VZ90
2005-04Treo 650 が 100万台を突破
2005-05PalmOne は PalmSource から Palm のブランド名を3,000万USDで買い取り、Palm Inc. へ改名
2005-06HDD 搭載 Life Drive リリース
2005-09 ACCESS が PalmSource を3億2400万USDで買収
2005-12 WILLCOM/SHARPが同社初のWindows Mobile5.0搭載W-ZERO3リリース
2006
2006-01同社初の Windows Mobile 搭載端末 Treo 700w をリリース
2006-02 ACCESS がGarnetVMを含むACCESS Linux Platform(ALP)を発表
2006-03Pilot 誕生から10周年
2006-10 Softbank Mobile/HTCが同社初のWindows Mobile5.0搭載X01HTリリース
2006-12PalmがACCESSから PalmOS Garnetのソースコードライセンス(利用・改変権)を4,400万USDで購入
2007
2007-01 Apple が初のスマートフォン iPhone 発表
2007-06投資会社Elevation Partnersと戦略提携Apple が iPhone リリース
Google が携帯電話用プラットフォーム Android 発表
2007-10Centroスマートフォン リリース
2007-11 ACCESSがNokia Nシリーズ向けに PalmOS GarnetVM (仮想実行環境)を提供
2008
2008-04Centro 100万台突破
2008-08Centro 200万台突破
2008-09 Apple が 3G対応 iPhone リリース
2008-10 Google Android 搭載端末 T-Mobile G1 リリース
2008-12非スマートフォンPDAのの終焉宣言iPhone販売台数がWindows Mobile搭載端末の台数を抜く
2009
2009-01PalmがCESにて新プラットフォームPalm webOSと搭載端末Preを発表
2009-02現在販売中のモデルを除くPalmOS搭載端末の終焉宣言

個人的な感想としては、PalmOSと端末は Palm V の時点でいったん完成してしまった。 その後は Sony と手を組んだことによってハイレゾ・カラー化やマルチメディアへの対応など進歩したのは確かだが、元々のコンセプトである Zen of Palm との乖離に苦しんでいるようにも見えた。 特に近年になってスマートフォン Treo の時代になると、ネットワーク接続を前提としていなかった PalmOS は更に矛盾を抱えるようになる。 幸いな事に近年までライバルと言えるのは Windows Mobile 程度で、Blackberry はビジネスツールという形でマーケットが違っていたのだが、ここ 1,2年は iPhone の登場と Blackberry のマーケット拡大に完全に押される形になっていた。

PalmOS の終焉にはどうしても寂しさを感じてしまうものの、ここで今までのPCを母艦とするPalmOS からインターネットを母艦としたwebOSへシフトするのは正解だろう。Palm と言うモバイル向けのハードウェアとソフトウェアを一括供給する事でモバイルのユーザ体験を提供する能力を持つ稀有な企業が、この先の10年をまたリードする会社となることを祈りたい。

参考サイト:

*1  Palm webOS 搭載: Pre


Palm Nova のコードネームで 2008年末の発表を掲げて開発されていた Palm Inc. の新しいプラットフォーム、Palm webOS が本日のCESにて発表された。Engadget Japanese が熱の入った記事を出してくれている。

コンセプトは名前に web が入っている通り、「クラウド」に接続する事を前提としており、古きPalmOSの「Desktop PCとの同期」と言う概念から、インターネットとの同期へと方針を変換した事になる。電磁誘導によるワイヤレス充電と言う機能が象徴的に感じるが、そうした部分の特徴だけを並べてもなかなか面白い。
  • アドレス帳やカレンダーは "Synergy" によりFacebookのstatusやOutlook, Google infoとリアルタイム同期する
  • 複数のIMやSMSをコンタクト毎に統合して「会話」をすることが可能
  • Palmの特徴だったデバイス串刺し検索にWeb検索を加えて統合環境を提供
  • マルチタスク+「カード」インターフェイスで接続したままのながら利用が可
  • アプリ操作中にもメールやスケジュールの通知がポップアップ
  • ウェブブラウザはマルチタッチでスライドやズームイン・アウトが可能
  • 開発は基本的にHTML/CSS/Ajaxベースで、参入障壁がかなり低そう
アプリはWindowではなく「カード」として扱われ、タッチ操作でのズームアウトで最小化、画面外へスワイプで終了といった感じのインターフェイス。EngadgetによるPalm Pre Hands on video を見る感じ、なかなかなめらかに動作するようだ。他にも様々なスクリーンショットが Palm Pre Phone のサイトに用意されているが、見た目は全般的によろしそうである。

ちなみにハードウェアは 3.1インチ 480x320マルチタッチディスプレイ、縦スライドQWERTYキーボード、EVDO Rev A.、802.11b/g、Bluetooth (A2DPあり)、 3Mピクセルカメラ(フラッシュ搭載)、microSDスロット、USB、GPS搭載で、 まあほとんど隙が無い。 唯一の懸念はマルチタスク故に動作がもっさりになってしまう事だけど、Palmがそこを考慮していないわけが無いと思っておきたい。

ともあれ iPhone や Android と既にスマートフォンに強力に並んだライバルと、 少なくとも今のところは戦う力を持っていそうなデバイスが Palm から出てきたのは、個人的には大変喜ばしい。 ちなみにPalmの株価も猛烈に上がっているようだ。

参考

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Posted by yoosee on at 2016-03-23 00:53 JST

*  No article

PalmGear.comが復活!

Posted by yoosee on Palm at 2008-09-06 14:00 JST

*1  PalmGear.comが復活!

PalmGear.com何気なく PalmAddicts を読んでいたら、The re-launch of PalmGear.com - hoooorayyyyy! と言う記事が目に止まった。お、と思ってアクセスしてみると、確かに PalmGear.com が復活している。どうやら9月3日からのようで、9月14日まで20%OFFのセールをしている。

PalmGear.com は相当老舗かつデファクト的だったPalmwareショップだが、過去にはフリーウェアも大量に配布しており、フリーウェアの公開に同サイトにファイルを置いてリンクを貼るということをしている場合も多かった。去年の12月に同サイトが PocketGear.com に吸収合併されてしまった際にはそうしたフリーウェアが消えてしまった事で結構な不便を感じていたのだが、見た限りではフリーウェアも復活しているようだ。全て元通りなのかは分からないにしてもありがたい。

最近は iTS での iPhone 用ソフト販売の話題が盛り上がっているが、Palm でもオンラインで手軽にソフトが売れる・買えるサイトがあったからこそ、Palmware はこれだけの数が存在するのだと思うし(代わりにフリーソフトがあまり流行らなかったという弊害もないではないが)、その一翼を担ったPalmGear.comの復活は嬉しい限り。これも Centro 効果だろうか。

ちなみに過去にとっていたIDはどうも今のところ使えないっぽい。他にも検索時に ColdFusion がエラーを吐くとか、ちょっと微妙なところがありそうではある。

*1  palm Centro smartphone

先週から Palm の PalmOS5 搭載スマートフォン Centro を使っている。Centro かわいいよ Centro。使っているのは AT&T の Glacier (白色) バージョン。Sprint は 3G CDMA なんだけど、AT&TはGSM/EDGEなので回線速度は200kbps前後と、用は足りるもののあまり速くない。

個人的には今まで Palm と es で別々にやっていたことを1つの小さなデバイスにまとめられた事だけでも嬉しいし、Palm デバイスとしても小さくて軽くてキーボード付きで TX と比べてもサクサク動く Centro はとても気に入っている。正直これ、日本で売ったらかなり人気が出ると思うので、Palm Japan はいい加減に活動すべき。と言うわけで以下に簡単にレビュー。

インプレッション
  • デザインもサイズも可愛い! 持ってて何だか嬉しくなる。Centro かわいいよ Centro。今年中に200万台行くだろうというのも理解できる。
  • DBCacheサイズが大きいのか、NVFS搭載機種としてはTXより癖が無く、動作もサクサクで嬉しい。
  • 通信機能をONにしていると、バッテリーの減りはかなり早い。頻繁に通信しているからかもしれないが、元々 1150mAh で待ち受け300h 通話 4h とバッテリー持続時間は短めではある。
  • WiFi 搭載のTXと違ってほぼ常時通信環境があるスマートフォンなので、通信機能はTX以上に活用している。またプッシュ型通知や定期的なデータ取得が出来るのが嬉しい。WiFiも使えたら… と思わなくもないけど。
  • キーボードは思っていたよりも全然問題なく使える。カメラも Bluetooth も付いてるし、WiFi 以外で欲しかったなと思うのはGPSくらい。
本体・ハードウェア
  • 107×53.6×18.5mm, 125g 。持った感じは日本の携帯電話と比較しても充分小さくて軽い。質感はツルッとして丸っこいのがやっぱり可愛い。
  • CPU 312MHz XScale, 64MB Flash, 1.56インチ 320x320タッチスクリーン。上位機種の Treo と比較してもさほど遜色が無いスペック。特にハイレゾなのが嬉しい。
  • サイズ的な制約からか、スタイラスがプラスチック爪楊枝みたいな悲しいものに。とはいえキーボードがあるから利用頻度は低い。
  • Bluetooth 1.2 と IrDA 搭載。HFP/HDP は最初から使えるが、 DUN や A2DP/AVRCP を使うには別途ソフトウェアが必要。
  • その他、microSD(SDHC)スロット、130万画素カメラ。コネクタは Palm TX 等と共通。オーディオプラグは 2.5mm 径。サイドに音量のアップダウンキーと設定可能なキーがある。また、ストラップ用の穴がついてる。
ソフトウェア・日本語利用
  • 日本語表示はいつも通りCJKOSで特に問題無し。日本語入力は Pobox FEP + 大富豪辞書。鍵盤交換を使って Shift+Space で日本語入力切替。
  • HotSync先は今回はOutlookにしたが、日本語もそのまま問題なく使えている。Scheduleだけ量が多すぎるからかまともにSync出来ていない。
  • 標準のメールとWebは日本語が化ける。メールは Agendus Mail SSL edition で日本語が使えるが、Web は PalmGate では駄目。多分 Mini's patch for Iota なり Opera mini で頑張る必要がありそう。
  • PalmOS デバイスにしては珍しく(?)、標準アプリが充実していて結構使い物になる。マルチIMクライアントやプッシュ型でExchangeと同期できるXpressMailなどが便利。
  • TCPMP での動画再生はXvidでは問題無し。画面が小さいのがちょっと難点だけど。
  • LJPが普通に動くところを見ても、DBCache RAMサイズはTXより大きいのかもしれない。
長年の Palm ユーザなので贔屓目はあるけど、日本でも元CLIE/Palmユーザにうまくアピールできれば iPhone あたりとも戦えるんじゃないかな。

Palm Centro smartphone が100万台突破

Posted by yoosee on Palm at 2008-04-02 18:00 JST

*1  Palm Sells Its One-Millionth Centro

Palm Centro米Palm社の PalmOS Garnet 搭載スマートフォン Palm Centro の販売台数が100万台を突破したそうだ。発売が2007年10月14日なので、半年経たずに100万台を売ったことになる。

少し前に行われた Palm Q3 Conference Call でも Centro の強さが取り上げられている。
The Centro is also bringing in new customers for Palm as its own early buyer study has shown that more than 70% of Centro buyers were "traditional" cell phone users. Twice as many Centro buyers than Treo buyers were under 35 and 95% of them have signed up for a data plan.Palm Q3 FY08 Conference Call Highlights
新規 Centro ユーザの 70% 以上が非スマートフォンからの移行組と言うことで、市場を広げる方向に売れているようだ。35才以下のセールスも大きいようで、恐らくはPDAとしての Palm に必ずしも馴染みがない若い世代にも売れているのだろう。性能はともかく価格ラインナップ上は廉価版なので収入への好影響は限定的らしいが、Palm としては久しぶりにいいニュース。

値段が安く(非アンロック版なら$99.99)てサイズも小さく、それでいて使いものになるQWERTYキーボードが付いており、Bluetooth やカメラも搭載している 320x320 タッチスクリーン搭載のスマートフォンであり、デザインやカラーバリエーションも一般受けしやすく仕上がっているので、人気が出るのも不思議じゃない。シカゴの空港にあったPalmStoreで触ってみたけど、十分小さくて普通に欲しくなったし。
日本でも使えたなら、過去に CLIE を使っていたような潜在的ユーザも含めてニーズは結構あると思う。日本でもスマートフォン自体は出てきている情勢なんだし、いい加減にどこか(+Palm Japanは)検討しませんかね。

Palm TX の NVFS/DBCache との付き合い方

Posted by yoosee on Palm at 2008-03-26 12:40 JST

*1  Palm TX の NVFS (Non Volatile FileSystem) について

昔の Palm はデータを(揮発性) RAM 内に保存していたため、バッテリー切れでデータが消えてしまっていたが、Palm TX 等では NVFS と言う仕組みでデータを保持するようになっている。NVFS の発想は結構単純で、ストレージとして不揮発性メモリにデータを保存し、実行時に今までの PalmOS の実行環境のように揮発性メモリ(RAM) に読み込む形になる。
これだと毎回実行時にデータ読み出しに時間がかかってしまうので、NVFS 搭載機種では DB Cache と呼ばれるキャッシュの仕組みを持っており、アプリケーションを RAM 側にキャッシュしている。

TX では DB Cache がOS使用領域の約7MBを除いて約13MBあるのだが、この容量を使い切ってしまうと任意のタイミングで自動的に RAM 領域の掃除が行われ、このタイミングでパフォーマンスがかなり低下したり動作がフリーズすると言う現象が起きてしまう。

正直言って「バッテリー切れでもデータが消えなくなった」程度の事と引き換えにするには NVFS のモッサリ具合は許容出来る度合いを越える改悪だと思っているが、ともあれこれが搭載されている機種をそれなりに快適に使うためには幾つかコツが必要になってしまった。以下、備忘録代わりに記す。結論だけ書くと、Off Flush は必須なので入れとけ、他は必要に応じてお好みで。より詳しい情報は 1src.com に投稿された Divining NVFS and Palm memory Problem がまとまっている。

*2  DBCache をクリアする - DBCacheTool, OffFlush

この DBCache を能動的にクリアすることでパフォーマンスを改善するソフトとして、DBCacheToolOff Flush といったものがある。DBCacheTool では空き領域が決まったサイズ・割合以下になった場合、自動的にアプリケーション切り替え時に Cache のクリアを行うことが出来る。但し Cache のクリア処理は結構重く、数秒〜10秒間程度、デバイスが入力を受け付けない状態になってしまう。一方の Off Flush では電源を切る動作のタイミングで実行されるため、利用者側のストレスが少ない。設定により、操作が無い状態で一定時間経過した場合の自動OFF時には実行されないようにも出来るのが意図せぬフリーズを防げるのも便利なので私はこちらを使っている。また、両者とも DA から実行してのクリアが可能になっている。

*3  起動時の Cache 読み込みを抑制する - UnCache, CleanStart

NVFS/DBCache 搭載機種ではソフトリセット後の起動時に Launch Code 5 が発行され、全ての実行可能アプリが一度実行されて破棄される、という処理が行われる。これにより常駐(APIフック系)アプリを起動したりアプリを RAM 内に予め読み込んだりするのだが、アプリを多めに入れていると起動直後には DBCache の空きが殆ど無い状態になるのが厄介だ。

この動作を制御するのが UnCache($5.95) と言うソフト。最近出てきたフリーウェア Clean Start も同用途のもの。これらで起動時の読み込みを制限することで、リセット直後の DBCache の空きを減らしたり、リセット処理自体の時間を短縮することが出来る。

但しこの初回起動→破棄行程が行われないと、常駐イベントフック型のアプリ(例えば CJK OS や Resco Backup 、FEPSwitch 、DBLauncher などシステム Tweak 系) は正しく動作しなくなるので、除外(起動時に読み込む)リストに入れておくこと。また Clean Start は動作に必須のファイルも除外対象に出来てしまうので注意が必要。下手するとリセットループを喰らう。

*4  必要なアプリはCacheに常駐させる - RescoLocker

こちらは逆に、特定のアプリを DBCache に常駐させる(RAMにLockする)ことで、よく使うソフトの起動を高速にしたり安定して動作するようにする。 起動は目に見えて早くなるが、当然 Lock が増えるほど DBCache の恒常的な消費量は多くなるので、対象は厳選した方がいい。

*5  Dynamic Heap を拡張する - UDMH

NVFS 搭載機種は概ね DB Cache とは別に 10MB の RAM を持っていて、ソフトウェアの実行用メモリ・Dynamic Heap として利用する。通常の Palmware であれば特に問題にならないサイズだが、大量の Heap を消費するアプリ、例えば TCPMP, PalmPDF, LJP 等では Not Enough Memory エラーになることがある。

UDMH($9.95) はちょうど Linux で HDD 上の swap 領域を仮想メモリとして使うように、NVFS の一部をメモリの一部として使う機能を提供する事で Heap を拡大することが出来る。アプリによっては必須だが、普通に使う分にはさほど必要性は感じられないかもしれない。

*1  Palm TX を今更ながら購入

先日 Palm TX $199 セール (ワイヤレスキーボード付属) の話を書いたが、米国の友達に頼んでまんまと入手に成功した。18日に届いたので T|T3 からの移行を試みている。発売後2年も経っているものなので、レビューも思いつくところを簡単に。

本体・ハードウェア
  • きちんとした長さの金属製スタイラスを搭載するPalmは本当に偉い
  • プラスチックのボディは金属中心のTungstenに比べてチープだが、その分気軽に扱えるのでまあ良し。デザインはシンプルで良い
  • 左側の溝にストラップを引っ掛けるようなものは売ってないのかな?
  • ハードウェアボタンの反応がいまいち良くない気がする
  • ボイスレコーダは削らないで欲しかった
  • クレードルが無いので置き場所が何となく定まらない。でも別途買うと高すぎる
データ移行
  • データ移行は PIM はIR経由のBeam、その他は RescoBackup から個別リストア
  • TasksDB に不正なデータが入っていてリセット頻発。dbFixIt で発見して修復
  • 日本語化は最新版の CJKOS そのままで問題無し
  • 移行させた PoBox FEP が古くて動かなかったので 172i に更新
  • その他のアプリはほぼそのまま移行できた
  • Palm Desktop は 4.1.4e を日本語化
  • Graffiti 2 は例によって Graffiti 1 に戻す
  • 左下端の Find Silk も Home に変更する
ファーストインプレッション
  • NVFS(非揮発性メモリ)は癖があって使いにくく、TT3と比較してもっさりさを感じるのが残念
  • もっさりと言ってもWindowsMobileの37倍程度は快適
  • 新品だからということもあるが、バッテリの持ちは優秀
  • おまけで付いてきた Universal Wireless Keyboard の入力は意外に快適で素敵。折りたたみギミックも楽しい
  • WiFi は一旦設定してしまえば接続は簡単だしすぐ繋がる
  • ワイヤレスでHotSyncやその他アプリの同期が出来るのは意外に便利
  • でもそれ以上にWiFiを活用する気にはあまりならない。まともなブラウザと、日本語が通る ssh2 client があればなぁ
  • CPUがTT3から多少遅くなっているが、TCPMPでXviDは普通に再生できた
  • LJP を動かすのには UDMH やら DBCacheTools やらと結構苦労した。NVFS...
WiFi, ストレージメモリ増量, バッテリ寿命向上, 2GB(非公式には4GB)までのSDカード対応(SDHC未対応) あたりが T3 からのアドバンテージ。逆に CPU 速度の低下, NVFSによるもたつきが劣化した点。特に NVFS は癖がありすぎ。揮発性RAMストレージのままの方が良かったんじゃないかこれ。

NVFS 以外でも、WiFi設定を入れたあとBluetooth設定を入れるとWiFi接続時にBluetoothの方で繋ごうとするとか頭悪い動作をしてくれる。PalmOSは思想はともかく、OSの技術的には本当に出来が悪いというか Out of date が過ぎると思う。
それでも Windows Mobile と比べたらなぁ... と言うのが現代のモバイルガジェットの悲劇だよ。本来 PDA とは言えない iPhone/touch に浮気したくなる気持ちも分かるよ。

*1  Palm Store special offer

Thanksgiving の instant holiday sale ということで、11月26日までの期間限定で Palm T|X handheld が $199 ($100 OFF, $69.00 相当のワイヤレスキーボード付き)、Palm Tungsten E2 handheld が $149 ($50 OFF, $39.95 相当の hardcase 付き) と言う割引価格になっている。送料も無料。但し完全に米国限定で、クレジットカード支払いもカードの billing address が米国住所になっていないと駄目みたい。
国内で買うとTX 本体のみでも 39,800円という値段なわけで、かなりお買い得なだけに海外発送もしてくれればいいのにと思うことしきり。

それにしても TX も既に発売から2年。もう Treo/Centro のようなスマートフォン機能の付いていない handheld device は新しいのが出ないんだろうか。まぁ 320x480 で802.11b/Bluetooth を搭載した TX 以上のデバイスを今の PalmOS5 Garnet で出せるとも思えないので仕方がないのだろうけど。今回のディスカウントが新機種発表に向けた在庫整理という可能性は... 相当低いだろうな。

一方 Linux device の世界では、H/Wスペック的には殆ど隙のない N810 みたいなのが $479 程度で販売されちゃっている現状なんだよね。しかもこれ、GarnetOS VM も動く。一方で Linux Palm はまだ 1年以上先なわけで... と言う話を何度も書いても状況は変わらない。でもせめて現行OS用にもっとまともなブラウザは欲しい。

*1  スラッシュドット ジャパン | ACCESS、NokiaのLinux端末向けにPalmOS用アプリ実行環境を提供

書き下ろし。Palm Inc. が独自に GarnetOS VM 搭載 Linux デバイスを作っている一方で、PalmSource を買収した ACCESS は携帯向けプラットフォーム ALP を開発している。記事にも書いた通り 2月には既に開発ベンダ向けバージョンが配布されている状態で、今回はそこから PalmOS5 の実行環境を切り出して提供した形になる。

恐らく今回の Nokia 向けの環境提供は、Linux 携帯を採用している世界最大規模の携帯ベンダ Nokia に ALP への参与を促すためのデモ的なものなのだろう。既に独自の Linux プラットフォームレイヤを持つ Nokia がどの程度まで ALP に肩入れするかは分からないが、プラットフォームの機能を部分的にライセンスするというやり方も考えているのかもしれない。

動作に関しては、PalmInfocenter.com の Nokia Tablet Garnet VM Video Demoを見る限り、GarnetOS VM 自体の起動には多少時間がかかるものの、起動してしまえばアプリの動作や切り替えは十分実用的な速度で動いているようだ。HotSync も可能だし、DIA (Dynamic Imput Area) を利用しての Graffiti 入力も出来ている。CJKOS のような日本語利用のためのソフトが動作するかどうかは不明。
800x480 の N800 に対して GarnetOS の最大解像度は T|T3 や TX の 320x480 なので、画面の真ん中にちょこんと PalmOS が動いている形になっている。解像度を変えるのは Palmware 側の制約もあって無理だろうが、ズーム表示なども可能になるのだろうか。最も欧米のスマートフォンはどうやら HVGA(320x480) を採用しているものが少なくないようなので、多くの場合は丁度いいのかもしれない。

最終的に実行環境としての GarnetOS VM が快適に使えるかどうかは正直よく分からない。Palm の快適さはハードウェア設計と結びついてこそのものだからだ。とは言え大量のソフトウェアという資産を持つ PalmOS5 がこのまま表舞台から姿を消さずに生き残っていけるかは、Palm Inc. が開発しているものも含めてこの手の仮想実行環境が鍵になるのだろう。そういった意味でも実行環境を実用的なレベルにしてリリースした ACCESS に感謝はしたい。

それにしても、日本でも PalmOS が使えるスマートフォンがなんとか出てくれないものか。出来ればWILLCOMから…。

*1  Frankenreview: 7 Takes On Palm Centro

つい昨日発売された Palm Centro のレビューが出始めてきている。(Sprintの契約前提で) $99 と言う安価かつ小型軽量、320x320のタッチスクリーンとカメラも搭載して、PalmOS機としてのスペックは WiFi 未搭載以外に殆ど隙が無く、同社の上位機種 Treo と比べてもほぼ同等。心配していた「爪楊枝でないと押せない」QWERTYキーボードも、小さくてイライラする事はあるようだが意外と指で押せるレベルらしい。物理的制約から画面やキーが小さいという不満はあるようだが、全般的に高い満足度でレビューされている。

もちろんこれは「現行PalmOS Garnet機として十分な機能をコンパクトにまとめた」と言う評価であって、なにかしらのイノベーションがないのは寂しいところではある。Linux Base まではまだ1年あるし、その間に Google phone も出そうな雰囲気だし、既に iPhone という革新的(と思われている)デバイスもいる現状は結構厳しい。

それはともかく、現役 PalmOS ユーザとしては見れば見るほど普通に欲しい。これで WiFi が載っていたら、日本じゃ電話として使えないのを承知で無理に買ってたかも。

*1  Palm、99ドルのPalmOS搭載スマートフォンCentro発表

Palm Centro10.71×5.35×1.85cm、重量 119g というサイズからしてローレゾかと思ったら 320x320 のタッチパネルだったし、microSD スロット, 130万画素カメラ, Bluetooth1.2, 64MB flash と、PalmOS Garnet (5.4.9) 搭載機としては相当真っ当なスペックになっている。もし万が一にでも日本発売があったら結構本気で欲しいと思う。それにしたって WILLCOM からってのはないだろうけど。

QWERTYキーボードが 爪楊枝でないと押せない と揶揄されているのはご愛嬌というかなんというか、無理に QWERTY にせずにテンキー + サイドに Graffiti ボタン(Graffiti Anywhere のようなやり方) でも良かったと思うが、自社売れ筋の Treo に倣ったということだろう。悪く考えれば、デザインで冒険できない状態なのかもしれない。

それにしても皮肉なことに、Palm は前世代の OS を使いつづけることでここしばらく殆ど進化のないモバイルCPUでもサクサク動く。マルチメディアに関しても実は TCPMP (現CorePlayer) のお陰で十分実用レベルだし、前世代の OS と揶揄される割に今発売される新製品に乗っていてもさほど困ることは少なかったりする。まぁ通信系アプリでは面倒も多いんだが。このサクサク動作の感覚を持っているユーザに、新しいマルチタスクOSで快適なユーザ体験を提供するのは結構大変な仕事だろう。願わくばそれが次の Linux Palm で実現されますように。

*1  Google Trends: Palm OS, Windows Mobile, Treo

Google Trends で Palm OS, Windows Mobile, Treo を見てみる。Palm OS は 2004年から単調減少し、2005年初めには Windows Mobile に抜かれている。参考までに Treo も載せたが、これもピークは2006年頭の Windows Mobile ベース Treo が出た時で、その後は減少。これを見る限りでは Palm の先行きが明るいとはとても言えない。

ちなみにPalm, Windows Mobile だと Palm が圧倒的に多いんだけど、Cities をよく見るとフロリダのボリュームが非常に大きいことから、単にヤシの木であるところの Palm であることがわかる。

*1  Can Palm find a way to survive? | Technology | The Guardian

Guardian の記事に「Palm は生き残りの道を見つけられるのか?」と言う記事が載っている。Jeff Hawkins があれだけ「次のメインストリームになる」と吠えた Foleo があっさりと開発中止になったことで、同社の先行きにかなりの懸念が抱かれているようだ。
though earlier Colligan said that would appear in 2008, Palm this week told the Guardian "it will be 12 to 18 months" before a Linux Palm appearsCan Palm find a way to survive? | Technology | The Guardian
次のコアになるべく開発されている Linux base Palm の販売は 12-18ヶ月先らしい。あれ、そんなに先だったのか…。

スマートフォン市場では現状で既に Rim (Brackberry) と Nokia に大きく水を開けられている。Linux base smartphone という分野でもモトローラが着々とシェアを伸ばしている。現状は Windows Mobile 登載の Treo が同社スマートフォンの半分を越える売上になっているらしく、当面は(恐らくは将来的にも)そこに頼らざるを得ない状況が続くんだろう。PalmOS ファンであり現ユーザとしては寂しい限りだが。

そう言えば Guardian にもあるが、以前に記事になった通り
Jonathan Rubinstein, the hardware engineering guru who helped bring Apple back on track, is going to be the new executive chairman of Palm. ITreo: Jonathan Rubinstein of iPod and iMac Fame Set to Helm Languishing Palm - Gizmodo
元 Apple iPod division の Jonathan Rubinstein が Palm のチェアマンとして参加する流れになっている。これは吉と出るんだろうか。

*1  The Official Palm Blog: Officially Announcing the Treo 500v Smartphone in EMEA

Treo 500vしばらく前から予告されていた Palm Inc. の 9月12日発表新端末は、Linux base ではなく Windows Mobile 6 (非タッチスクリーンのスマートフォン版) 搭載の Treo 500v (v は Vodafone 版) だった。形状は以前から Gandolf として流れていたものだが、思ったよりもデザインは良い。240x320スクリーン、microSD スロットに 200万画素カメラと、WM6 端末としても特筆するような特徴はない。特に Wi-Fi が無いのは残念。

3G/UMTS ネットワーク対応なので日本でももしかしたら使えるかもしれないけど、WM6 の非タッチパネル版なんてそこまで苦労して使いたい端末じゃない。まぁ Linux base は年内に出るんじゃないかと期待されているので、まずはそれを待ちたい。待っても日本で使える可能性は低いわけだけど。

*1  The Official Palm Blog: A Message to Palm Customers, Partners and Developers

ITmedia にも ITmedia エンタープライズ:Palm、Linuxデバイス「Foleo」開発中止 と言う記事が出ているとおり、Palm Official Blog で Ed Colligan が Foleo の当面の開発中止を宣言している。はからずも Engadget から Palm への手紙 での進言のひとつが通った形になる。

今回の件に関して言えば、既に発表されている Foleo SDK と、この先出る予定の Linux base Smartphone の SDK がまったくの別物という時点でぶっちゃけありえない状況だったわけで、プラットフォームの統合という流れ自体は正しいと思う。もちろん、また時間とリソースを無駄にしたという話を置いておけば、だが。

Palm は数年前、PDA の衰退とともに力を失いかけ、HandSpring の Treo を取り込むことによって何年かの延命を得た。その Treo と言う資源はそろそろ堀尽くされようとしている。現行の PalmOS Garnet は CLIE が去った 4年前から殆ど進歩していない。PalmOS の利点である素早い動作やシンプルで直感的なUIを生かしつつ、現在の状況 - 通信との親和、マルチタスク、マルチメディア、見栄えのよいUI、進化したハードウェアへの対応 - をキャッチアップすることが急務だ。

Foleo 自体の発想が悪いとは思わないが、正直言って Foleo はプロダクトの位置付けからしてもあくまで Smartphone の余剰リソースで開発されるべきもの。Foleo が Palm Smartphone のリソースを食いつぶしてしまうのでは本末転倒もいいところだ。そういった意味でも今回の開発中止の判断は正しい。

個人的には Linux Zaurus SL-C がディスコンの今、フルQWERTYキーボード搭載のモバイル Linux 搭載ガジェットとして期待を持ちたいものではあった。是非とも統合されたプラットフォームで次の Foleo II を出してほしい。その時にはハードウェア的にも計量化や長バッテリー寿命、更なる高解像度などを実現してほしいものだ。

なお、12th September 2007 に新しい Smartphone が発表される。これは既に情報が出ている廉価版スマートフォン Centro ではないらしい。これが噂の Linux base の Palm Smartphone だとしたら、Palm が次の 5年を生き抜けるかどうかの大きな試金石になるんじゃなかろうか。

Engadget から Palm への手紙

Posted by yoosee on Palm at 2007-08-25 22:00 JST

*1  Dear Palm: It's time for an intervention - Engadget

Engadget の (恐らくは) Palm を大いに愛するスタッフが (恐らくは) 最近の Palm の動向に業を煮やして「ひとこと言わせて」という記事をあげている。内容は流石に Palm を長年見ているなぁという感じで、頷ける部分も多い。Palm も official blog で Ed Colligan が The Official Palm Blog: Thanks Engadget と言う記事で感謝の言葉を述べている。項目名だけ引っこ抜くとこんな感じ。

ハードウェア
  • Treo は太りすぎ! もっと薄くして!
  • 大きくて高解像度のディスプレイを載せてよ
  • キーボードに固執しすぎない方がいいよ
  • 見た目をかっこよく! 今や電話はライフスタイルの一部なんだから
  • WiFi 載せようよ WiFi
  • 本体メモリは 数GB 欲しいよね
  • Centro / Gandolf / Treo 800p なんて今すぐ止めちゃえ!
ソフトウェア
  • いい加減、UI を含めて OS を完全にオーバーホールすべき時期にきている
  • オープンに、あらゆる部分を完全にオープンに
  • 真のマルチタスク
  • 開発者を鼓舞する何かを
  • 使いものになるブラウザ
  • そろそろ Mac もきちんとサポートすべきじゃない?
  • マルチメディアを忘れちゃいけない
  • Google と共にあれ
それ以外の事
  • Foleo に無駄使いするのはやめにしようよ
  • もっとまともな広告をうとうよ
  • 我々に、もっと明確な未来を示してくれ!
PDA が下火になる中を HandSpring から来たれる Treo が Palm を延命させたわけだが、そろそろそのネタで食べるのも限界になってきている。上記でも幾つかの項目は iPhone や HTC に尻に火を付けられている状態だ。
Centro は思ったよりはかっこ良かった し Foleo はあと 2世代後くらいにメインを張れている可能性も 8% 程度はあると思っているが、それよりなにより Palm ファンとしては「マイナーチェンジじゃない、新しくてクールな Treo を早く出してくれ!」と言うのに尽きる。

Linux base の (ALPではない方の) Palm も今年の後半には出てくるはずだが、その出来如何でこの声が歓声に変わるのか絶叫に変わるのか...

Palm Centro というのが出るらしい

Posted by yoosee on Palm at 2007-08-16 22:00 JST

*1  Palm Centro Smartphone Due This Fall

始めにデザインを見たとき(当時は Gandalf とかいう名前だったはず)は何をふざけているのかと思ったが、本当にリリースされる予定らしい。記事を読む限りでは Palm Tungsten に対する Zine のように Treo の廉価版と言う位置付けのようで、手に持った写真を見るにサイズはかなり小さいようだ。恐らくスクリーンは 160x160 だろう。サイズが小さい廉価版モデルが出るのはユーザの裾野を広げるのに良いことだろうが、低年齢層をターゲットにしたにしてもこのデザインはなんとかならなかったんだろうか。

しかし Treo もなまじ出来が良すぎたばかりになかなか次の手を撃てずに苦しんでいるように見える。まずはそろそろ WiFi 搭載機を出して欲しいところだが、デバイスドライバや通信中のマルチタスクサポート等を考えるとLinux ベースの新OS待ちなのかもしれない。

Palm Foleo はノートPC2.0の夢を見るか

Posted by yoosee on Palm at 2007-06-14 22:00 JST

*1  ジェフ・ホーキンズ氏の生涯最高のアイデア - CNET Japan

以前の私の記事 Palm の新デバイス Foleo は、とても Palm らしいデバイスだ では「これまでの役割を逆転させた、Treo を母艦とする Foleo」と言う趣旨の事を書いたが、ジェフ・ホーキンズに言わせると、それはあくまで「最初の数十万台を売るための入口」にすぎないようだ。
――しかし本当は?

 こういうものを自分の主なPCにしたい人は沢山います。それについては疑いありません。

 単純なことです。これは小さく、早く、安定しており、簡単に使えます。電源を素早くオンオフできます。簡単です。わたしはずっと、もっといいパーソナルコンピュータを作ろうとしてきました。ジェフ・ホーキンズ氏の生涯最高のアイデア - CNET Japan
彼が狙うのは「あらゆることは出来ないけれど、ほとんどのことが快適に使えるデバイス」だ。ノートPCの再発明と言ってもいい。またこのアプローチは、Webブラウザ上で多くの事が出来るようになった今だからこそ試みる価値があるのだろう

例えば私の友達にも PC は殆ど立ち上げないという人が相当数いる。恐らくジェフ・ホーキンズが最終的に見ているのはそういう層、つまり「PCを家電のように使う」世界ではないか。スマートフォンはより高機能で使う側にもスキルが必要な携帯電話だが、Foleo はよりスキルの要らない PC を目指している。もちろんこうした道具は普段 PC を使う人にも、PC、携帯電話・スマートフォンに続く第3の選択肢として機能するだろう。

とは言え、今までも各PCメーカが「ボタンを押すだけでメール取得」「テレビとしても使える」といった「家電指向PC」を出してきた歴史がある。Foleo が Linux をベースに独自に作りこんだシステムで、過去の歴史に対して圧倒的なアドバンテージをつくり出せるのか注目したい。

また一方で、この手のデバイスを最初に評価するのはいわゆるイノベータやアーリーアダプタと呼ばれる、その分野のリテラシが高い人だ。この層へは「Treo のコンパニオン」としての役割付けが最初のアプローチになるのだろうが、こうした層では 1.1kg ノートPC型の Foleo はなんでも出来るノートPCと比較されるだろう。またそうした層にアピールできたとして、その後にキャズムを越えてマジョリティへと広がっていけるかどうかが勝負所だろう。

どちらにしてもコンセプトを広めるのには時間がかかるものだし、Foleo もハードウェアとして完成しているとは言い難い(少なくともさらなる計量化とバッテリー寿命の改善は望みたい)。Palm が Foleo を Pilot のようにリリースし続けることが出来るかが問われそうだ。

*2  プログラマーの力が発揮できる舞台を作る

もう一点面白いのは Linux を選んだ理由。
Linuxは愛されています。わたしは、押さえつけられている、不満のあるLinuxプログラマは多いだろうと思っています。彼らは、サーバのコードを書くのにうんざりしています。彼らはみな何かもっと一般利用者向けのものを探しています。ジェフ・ホーキンズ氏の生涯最高のアイデア - CNET Japan
Palm OS はそれこそ 3rd party の開発力がプラットフォームの魅力の大きな部分を支えているといっても過言では無く、それを充分わかっているからこその発言だろう。本当に押さえつけられて不満の多い Linux プログラマが多いのかは分からないが、PalmOS と同様にオープンな開発環境が提供されるであろう点は評価したい。

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