*1  Kindle 6インチ版を1ヶ月程前に購入して

1ヶ月程前にKindleの6インチ版を購入した。カッとなって... と言うわけではなく、3,4ヶ月考えた末に iPad のスペックも見た上での購入である。今のところ、期待した以上に楽しめている。と言ってもまあ出来るのは「本を読む」と、それだけではあるのだが。それでも素晴らしい点は幾つもある。

軽い - 本を何冊持ち歩いても重さは同じ
重量289g。さすがに新書や単行本よりは重いだろうが、手元にあった300ページ弱のA5判の本が330gくらいだったので、それよりも軽い。なにより、何冊本を入れても重さが変わらないというのがデジタルの素晴らしい所。大量の本を気軽に持ち歩く、と言うのが Kindle で得られた最大の新しい体験かもしれない。
9.1mmと薄いデザインは素晴らしいとは言わないまでも悪くない。片手で持つのも問題ないが、Next Page が左右の端にある都合で端っこをつまむように持つ形にすると多少支えづらい。

文章が読みやすい電子ペーパー
電子ペーパーとも呼ばれる E-ink は発光するPCのディスプレイと違い反射型で、特性が紙に近い。解像度は 6インチ 600x800 で 167dpi と高く、印刷された文字と比べても遜色ない。個人的な好みもあろうが、PCのディスプレイで本を一冊まるまる読むのは正直辛いが、Kindleでは少なくとも表示された文字を読むことに関してそういう苦痛はない。また直射日光の下でも問題なく読めるので、屋外のベンチで時間つぶしに本を読むというケースにも問題なく使える。

3G接続でどこでも本がダウンロードできる
Whispernetと呼ばれる3G網への無料(US外では書籍料金に$1.99上乗せ)接続で、Amazonで購入した書籍は自動的にKindleに、大体60秒以内くらいにはダウンロードされて読み始められる。これは結構快感だ。新聞など毎日更新されるものは特にこの恩恵に預かれそうだ。漫画雑誌がこうやって配信されたらいいのにと心底思う...
また本体から削除した本も、再度のダウンロードがいつでも無制限に可能。購入情報はAmazon.com側にあるため、本体が壊れようが自宅が全焼しようが買った本には問題ない。またPCやMacやiPhone用Kindleリーダーを使うと複数の端末で同じ本が読めるし、既読情報やBookmark、メモなどはオンラインで自動的に同期される。

電池が持つ
3G接続ONで1週間、OFFであれば2週間くらいは電池が持つ。特にありがたいのは、3Gを切っておけば鞄にしばらく使わずに放り込んであっても電池は殆ど減らないところ。電池がなくなるのは「使っているとき」なので、知らない間に電池がなくなっていて本が読めなくなることが少ないのは精神的に良い。

辞書が引ける
デジタル書籍ならではの機能であり、特に英語の本を読んでいるときにありがたい。最初から Oxford の英英辞書が内蔵されているが、DRM無しmobi/prc形式の英辞郎などを入れれば(フォントハックとの併用で)英和辞書も使うことが出来る。

本しか読めない
あえて長所として。ほぼ読書専用端末なので、途中でついメールやIMをチェックしたりWebを見たりといったことが(出来)ない。
実際にはWebブラウザも搭載されていて内蔵の3Gネットワークでどこでもインターネットにアクセスできたりはするが、まあおまけ程度の機能でありそちらに気を取られるようなことはまずないだろう。

個人的には買っての後悔は殆どないが、とは言え現時点でどう考えても発展途上のデバイスであり万民に進められる端末とは言えないので、以下に残念な点も列挙する。

今のところ日本語の本が販売されていない
多分最大の障害はこれ。英語の本を読むは読むが、やはり日本語の本が買えるに越したことはない。特に海外にいる身としては、日本の書籍や漫画がオンラインで即読めるようになる未来を望んでやまない。なお現行Kindleでもフォントハックをすれば日本語の表示も全く問題ない。自前で本をスキャンしたPDFや青空文庫のような著作権フリーのテキストを読むことは今でも可能ではある。

暗い所で読めない
紙でもそうなので当然とも言えなくはないが、背景が白ではなく薄い灰色になっていることもあり、コントラストは紙に比べると70%程度だろうか。薄暗いところだと読みにくいのでブックライトが必要になる。

ページめくりに0.6〜1.0秒程度かかる
電子インクの性質上だろうが、全面が一瞬黒になってから次のページが表示されるようになっている。これにAmazon本(.azw)だと大体0.6秒くらいか。PDFでのページめくりの時間はazwやmobiに比べて僅かに長く、多分1秒強くらいかかる感じがする。本でも実は同じくらいかかる気はするが、特にPDFのケースで多少ストレスを感じる事がある。

操作系、特にタッチパネル非搭載の点
Next Pageボタンなどは本を読むのにはよく考えられた操作レイアウトになっているが、タッチパネルでないこともあり、例えば読んでいる本の単語を辞書で引きたい場合等にカーソルを延々と移動させる必要があったり、また大量の本を入れているとたどり着くのが面倒になったりと、UIのいけてなさは多少気になる。きっと次世代機はタッチパネルを載せてくるのだと思うが。

Kindle化されていない本が多数
Amaozn.comには現時点で450,000冊の本があり、最新のベストセラーなどは殆どがKindleで読める。他にも1928年より前に刊行された著作権フリーになっている本(180万冊あるらしい)を読むことは出来るが、昔読んだSci-Fiやファンタジーの原書を読もうとすると得てしてKindle版は無かったりする。

と気になる点はあるし1,2年内には色々な新端末が出るだろうとは思うが、今の時点で電子書籍を楽しむには十分に事足りる。購入した英語の書籍、フリーで落ちている英書や青空文庫、書籍をスキャンしたPDFなどを読むのであればそれなりにお勧めは出来る。

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