*1  ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く

ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く よくこんなマニアックな本がヒットしたなと思いつつ、出来の良い長編SFを読んでいる気分で、大変面白く読んだ。

本書は前半から約3分の2以上を素粒子物理史の説明に費やしている。この部分は理論の推移だけでなく、物理学者による発見の経緯やその後の検証実験の様子まできちんと書かれており、読み物としても面白い。ストーリーがニュートン力学から電磁気学や相対性理論を通り、量子力学や標準理論、超ひも理論といった現代の素粒子物理学まで一連の流れとしてえがかれているので、大学等で物理を志す初学者にも全体像を俯瞰するのに良いんじゃなかろうか。

本題である湾曲(ワープ)次元の話は序章と終章で語られている。基本的には他の部分はこの話題を語るための長い前フリであるということもあり、そこまで出てきた現在の素粒子論の課題をうまく収束させる形で自分の理論に持っていっているので、ストーリー立てとしてもなかなかうまいと思うし、内容も興味深い。なにより元素粒子実験屋としては、近くLHCで実証実験が行われると言うのがいい。

ただ数式こそ出てこないものの、一般常識からは遠くかけ離れた素粒子という世界を学術的知識を踏まえて扱っている以上、予備知識が全く無い人が読み解くのは結構大変じゃ無いかなとも思う。まぁ理解が難しい部分(スピンや様々な荷や場などの専門用語)は読み流してしまっても雰囲気は楽しめると思う。

ところで言いがかりなのは承知の上で書くと、日本語でワープと言われるといわゆるスタートレックやスターウォーズで出てくる超光速移動であるとかもしくは瞬間移動であるとかを思い浮かべるわけだけど、英語では「歪める・曲げる」といった意味であり、ここでの Warp もそうした意味で使われている。ほぼ原題どおりではあるんだけど、キャッチーなタイトルではあるね。

*1  iPod touch, Palm TX, W-ZERO3[es] を勝手に比較

故あって3つのデバイスを併用するようなことになってしまっている昨今であり、折角だからという事で3つのデバイスについて勝手に比較をしてみる。内容がクドいのはご容赦を。
Apple iPod touch 16GB MA627J/APalm TXW-ZERO3[es]Advanced W-ZERO3[es]
iPod touch は jailbreak が前提、Palm TX や W-ZERO3[es] も充分なカスタマイズを前提とする。利用歴としては、Palm TX 約3ヶ月(PalmOSは継続して9年弱)、W-ZERO3[es] 約1年8ヶ月(WinCEは断続的に合計3年程度)、iPod touch は1ヶ月弱程度。

*2  ハードウェアデザイン

1. iPod touch 2. Palm TX 3. W-ZERO3[es]
これは圧倒的に iPod touch の出来がいい。コンパクトで薄いボディサイズといい、手に持ったときの金属の質感と重さといい、ミニマムな外見といい、所有していて嬉しくなるハードウェアだ。Palm TX は外装こそチープなABS樹脂なものの、デザインとしては人気を博した PalmV 系を継承している。外装がチープなのも、普通に持ち歩く道具と考えればメリットでもある。ハードウェアボタンの作りが甘い感があるのが多少残念。W-ZERO3[es] に関してはものとしてはよく出来ているものの、スライドギミック部分やコネクタカバー等の細部にチープさを感じてしまうのが難点。後継機種のアドバンスドの方はその辺はかなり良くなっている。

*3  ディスプレイ

1. W-ZERO3[es] 2. iPod touch 3. Palm TX
VGA640x480(Adv.では800x480)と言う高精細液晶を積んでいる W-ZERO3[es] を一歩上とした。高解像度は特に日本語を読む場合には重要で、個人的には ssh shell login 時に横80カラムの表示が潰れずに出せるのが素晴らしい。RSSリーダの記事青空文庫も快適に読める。
ただスクリーンサイズという点では HVGA320x480 の Palm TX, iPod touch の方が大きなディスプレイを積んでおり、動画を見る等の用途なら解像度より画面サイズを優先したい場合もあるだろうから、どちらを優先するかは目的によるだろう。

*4  タッチスクリーン

1. iPod touch 2. Palm TX 3. W-ZERO3[es]
マルチタッチでき、スタイラスを使わずに操作が出来る iPod touch を上とした。クイックな操作レスポンスと慣性画面スクロール等も相まって、操作感が気持ちいい。Palm TX は可もなく不可もなくだが、きちんとした長さ・重さの金属製スタイラスが付属するのは素晴らしい事だ。W-ZERO3[es] はどうもタッチスクリーンの出来が良くないのか制御が甘いのか、スクロールバーを選択したりするのに手間取ることがあるのと、付属のプラスチック爪楊枝のふざけ具合とを併せて最下位とした。

*5  文字入力

1. W-ZERO3[es] 2. Palm TX 3. iPod touch
文字入力に関しては引き出し式のQWERTYフルキーボードを持つW-ZERO3[es]が抜きん出ている。Palm TX に関しては Graffiti を使いこなせるかと pobox との相性、テンプレート系のDAの使いこなし等の要素があるので、人によっては iPod touch のソフトキーボードの方が使いやすいという人もいるかもしれない。
しかしふと思えば Palm (POBox) と iPod touch の予測入力はどちらも masui technology なのだなぁ。

*6  ユーザーインターフェイス

1. Palm TX 2. iPod touch 3. W-ZERO3[es]
PalmOS の質実剛健なUIと、iPod touch の美麗なアイコン・フォントで滑らかに動作するUIのどちらを上とするかは個人的な好みもあるだろう。基本動作(OK,Cancel,Home等)の操作系が統一されている点とアプリケーションの切り替えなどでユーザをあまり待たせない点はモバイルデバイスとして重要なポイントであり、両者ともレベルが高い。差を付けるとしたら iPod touch のハードウェアボタンの少なさ。アプリケーションの切り替えやページ送り等の主要な操作が片手では難しいと言う辺りで、Palm TX を上とした。
W-ZERO3[es] と言うか WindowsMobile5 のUIに関してはもう言葉もない。開発者は本当に自分でこの端末を快適で分かりやすいと思って使っているんだろうか。

*7  通信

1. W-ZERO3[es] 2. iPod touch 3. Palm TX
現状ではWILLCOM網に接続可能なW-ZERO3[es]がトップ。日本でならほぼどこでも繋げるのはスマートフォンのこれだけ。Adv.なら無線LANとの選択も可能。
通信環境との繋ぎやすさや通信を生かした機能という点では iPod touch の方が上かと思う。Palm TX に関してはWiFiは乗っておりBluetoothも内蔵しているものの、シングルタスクでながら通信が出来ず、ネットワークスタックが腐っている現状のPalmOSでは正直言ってTXのハードの性能すら使いきれているとは言い難い。

*8  周辺機器

1. Palm TX 2. W-ZERO3[es] 3. iPod touch
ある意味で比較が一番難しい。Bluetooth と IrDA は唯一 Palm TX のみが搭載しているし、W-ZERO3[es] は USB Host 機能を持つ。iPod touch はスタイリッシュな周辺機器が充実している。と言う具合に三者三様の強みで直接比較し辛いが、これは完全に個人的な用途の都合上、Palm TX をトップとした。
そもそもいい加減、Bluetooth はこの手のガジェットでは標準搭載にすべきだと思う。

*9  Webブラウザ

1. iPod touch 2. W-ZERO3[es] 3. Palm TX
iPod touch の Safari の出来はバグは多いにしてもかなり良い。マルチタッチスクリーンの有用性で狭い画面での閲覧性の悪さをうまくカバーしていて、少なくとも多少はPC用サイトを見る気になれるし、UIを模した専用サイトもあって使いやすい。W-ZERO3[es] では Opera や IE Pocket や NetFront 等、幾つかのブラウザを選択可能なのが良いところだが、どれも一長一短という感じでもある。Palm TX でまともに日本語Webブラウズをしたければ NetFront3.1 の一択になるだろうが、それにしたところで快適とは言い難い。ここはGarnetOS上で最もどうにかして欲しい点だ。

*10  マルチメディア

1. iPod touch 2. W-ZERO3[es] 3. Palm TX
ここは流石に iTunes と連携し、作り込まれたプレイヤーを標準で装備し、iTS での直接購入も出来る iPod touch が数歩抜きん出ている。とは言え TCPMP / Core Player のお陰で W-ZERO3[es] や Palm TX でも画像・音楽・動画の視聴と言うレベルではさほど問題になることは無い。

*11  アプリケーション

1. Palm TX 2. W-ZERO3[es] 3. iPod touch
アプリケーションに関しては基本的にはどうしても過去の積み上げが大きいため、昔から開発が盛んだった PalmOS が現時点ではトップとしたい。特にPIMの出来の良さがPalmを捨てられない最大の理由。TCPMP のお陰でマルチメディア系でも寿命が伸びた。通信系がダメダメなのが玉に大亀裂ではあるが…。
一方で良質なWM 向けアプリもスマートフォンの売れ行きに比例して増えてきているし、iPod touch 用アプリは iPhone リリース時からあっという間に増加しており、先日のSDK発表やiTSでのソフト販売スキームなども踏まえれば順位が覆るのもそう遠くは無いだろう。

*12  総論

結局のところどれか1つを選ぶかは好みでしかないんだが、端的に感想を書くと
  • ユーザ体験として気持ちがいいのは iPod touch
  • PDAとして実用性が高いのは Palm TX
  • 電話・通信やフルキーボード、(W)VGAなど他に無い強みがあるのは(adv.)W-ZERO3[es]
と言った感じか。

現在のところ、 Palm TX は日常生活の必須品、W-ZERO3[es] は電話+メール+RSSリーダ+SSHクライアントとして、iPod touch はまだ今のところは余暇にいじって楽しむ程度と言う使い方になっている。

*1  ブレスレット詐欺 「血液さらさら」と偽り販売、社長逮捕

旧聞の上に罪状の詳細もよく分からずに書いているのだが
 「身に着けると血液がさらさらになる」と金属製ブレスレットを高額で販売したとして、千葉県警生活経済課などは6日、健康器具販売会社「サンキョーコーポレーション」(東京都豊島区)社長、梶本稔容疑者(60)=同区池袋2=ら7人を詐欺容疑で逮捕した。[中略]
仕入れ値は1個約2万円だが、20万〜45万円で販売していた。ブレスレット詐欺 「血液さらさら」と偽り販売、社長逮捕(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
立件は詐欺容疑らしいんだが、引っかかった部分は血液検査で「さらさら」になったという部分なのか、金属ブレスレットの健康効能表示に問題があるのか、それとも仕入れ価格の20倍以上の値段で売りつけたことなのか、どれなんだろう。

例えばケンコーコムなどのまともなウェブショップでも、値段ははるかに安いながらも金属ブレスレット系の商品が多数販売されている。
ゲルマニウムは32%以上になるとマイナス電子が外へ飛び出し、プラス電子にかたよってバランスを崩した筋肉細胞を正常に整えます。チタンは電気活動を安定させる効果があります。体内バランスを整えたい方、ゴルフ、ハイキング、ジョギング、テニス、水泳、散歩などをする方に。ゲルマチタンブレス黒 M 【ケンコーコム】
なんてキャッチで売られているけど、これはいいんだろうか。似たようなものは アマゾンでも売られている。まぁこちらは健康効果自体は掲載されていないようだが。ハンズ辺りにもこの手のグッズがたくさん置いてあり、特にゲルマニウムブレスは「有名スポーツ選手○○氏も使用!」と言う文脈で宣伝されていることも多いのが気になっている。実際、身の回りでも信じて付けている人がいて、なかなか突っ込みづらい。

Wikipedia の記述やその他Webサイトの情報を見る限りでは、少なくとも現時点でゲルマニウム自体に特別な治療効果は認められていないようだ。
疲れが取れる、新陳代謝を活発にする、などといった効能があるとされ、ゲルマニウムを使った健康器具類が販売されている。しかし、そのような効能、効果は医学的に証明されていない。[中略]
医療用具として認可を得た製品もあるが、厚生労働省薬事法において、無機ゲルマニウムが医療器具として認可が承認されているのは『指圧』『つぼ』治療器である。ゲルマニウム - Wikipedia
あくまで基本は「ツボの刺激によるコリの改善」ということにしているんだろう。しかしマイナスイオン云々に言及してる時点で虚偽だと思うし、薬事法的にも証明されていない効果をうたっちゃまずいと思うんだが…。実際にゲルマニウムに関する消費生活相談も結構あるようだし、線の引き方がいまいちよく分からない。

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Posted by yoosee on at 2016-03-23 03:01 JST

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*1  理系白書’07:第1部 科学と非科学/5 過熱、脳ブーム | 毎日新聞

毎日新聞 (MSN-Mainichi INTERACTIVE) 理系白書で 1月31日から始まった連載「科学と非科学」は、マイナスイオンや血液型ブームを科学の立場からきちんと批評する良い記事だ。昨今のあるある大辞典騒動をきっかけにしたものなのだろうけど、毎日新聞は ID理論 などに乗ってしまった経緯もあり、その反省もあるのかもしれない。

理系白書と広告と言うのはよろしいことなのだが、その記事の一番最後にのっている広告が英会話は1日5分から聞き流すだけ! Explitlineと言う、正直ちょっとどうかと思うものになっている。別にこれがニセ科学だとは言わないけれど、テーマ的には微妙な気がする。他にも「天然素材100%無添加 10万人が効果を納得!? レーサーダイエット と言う広告も見かけた。

某マッチング広告でも「トランクに死体が詰められていた」と言うニュースにトランク販売の広告がでたなんてことがあったようだし、記事と広告のマッチングは(それが可能ならば)少し考えた方がいいと思う。

*1  finalventの日記 - いうまでもなく地球は滅亡する

それにしても、必ず滅亡するとわかっていてなぜ地球生命は存在するのだろうか。finalventの日記 - いうまでもなく地球は滅亡する
現実には「生命って、そこまで考えて無いんじゃね?」と思わなくもないが、例えば「ディアスポラ/グレッグ・イーガン」では、情報生命体と化した人類(ないし人類の延長上に存在する知性体)が、この時空の宇宙寿命を越えて存在・思考する姿が描かれている。単なる SF のお話ではあるが、知性の電子化はこの先 50年ほどで起こり得る話かなと思う。それを生命と呼ぶかはその時に議論になるのだろうけど。

仮に人類がそこまで辿り着かなくても、どこかの宇宙のどこかの星のどこかの生命はそうした存在まで辿り着くかも知れない。そう考えると、生命と知性の誕生と成長というのは、実はあちこちで行われている壮大な生き残り実験のように感じなくもなく、人類もそのひとつなのであろう。

そういう意味では、生命の存在というのはこの世界を支配しているエントロピーとの永遠の戦いなのかもしれない。

日本惑星協会への入会の勧め

Posted by yoosee on Clip at 2006-12-05 23:42 JST

*1  日本惑星協会への入会の勧め。 - yosuke の日記

スラドサイエンスセクションマスターの yosuke さんの日記より。
はやぶさ2だけでなく、続くISASのミッションを実現させることに興味があるならば、遠回りかもしれないけど日本惑星協会に入ってみませんか?
....
会員数が増えれば、TPS/Jだって、「日本には宇宙開発に興味があってお金も出す人がこれだけいる」と言うことができる。そしで、TPS/Jを、TPSのような宇宙開発の圧力団体として機能させるのだ。日本惑星協会への入会の勧め。 - yosuke の日記
年間 5,000円の会費で年6回のPlanetary Reportとその抜粋の翻訳、年1回のカレンダーが届くとのこと。入ろうかな。

*1  「水からの伝言」への反証実験は科学的に意味があるのか

「水からの伝言」を信じないでくださいに対して「反証実験すればいい」と言っている人がいるようだが、本当に反証実験は有効なのだろうか。科学の側からすると、水伝の反証実験は恐らく「しても意味が無い」「するべきではない」ものとして扱われるべきではないか。反証実験が必要ではないという話を 事象の地平線:日本化学会の会誌に水伝批判の現状レポート のコメント欄から拾ってみる。

しても意味が無い
反証実験は水伝のような「感覚的な結論」を「否定」する事が出来ない。「うちでは出来ますよ」と言われたらどう反論するのか。相手が厳密な再現条件を挙げていないのだから、仮に反証実験で否定的な結果が出たとしても「それは十分綺麗な結晶です」だとか「綺麗な言葉を言うときに心を込めなくてはいけません」とか「実験者の波動が影響します」などと言い出されたらきりがない。
そもそも水伝に関して言えば、既に「科学的反証」として十分な水結晶に関する科学的データがあるわけだが、それを無視されている時点で反証が無駄だというのは明らかでもある。

するべきではない
上記のように今回のケースでの反証はコストがかかるわりに実入りが殆ど無い。それどころか「科学的に反証実験されたのに我々を論破できなかった」などという下らないプロパガンダに使われる可能性もある。更に言えばこの手のエセ科学は世に大量にあるわけで、「個別に反証するべき」と言うルールが出来てしまうのはコスト的に甚だよろしくない。なので「科学では原則論として新しいことを言い出した方に立証責任がある」と言う原則を貫き、あくまで相手が「科学の土俵」に上がらない限りは科学としての対処をしない、とするしか手が無いとも言える。

*2  プロパガンダとしての水伝をどう潰すか

さて、以上が科学としてのスタンス。一方でこの話は、otsune さんが「水からの伝言」にまつわる議論で忘れがちなのは、科学の話と洗脳・共感の話がごっちゃになるところ で書いている通り、現実には単なる洗脳合戦でもある。こちらを主戦場とする場合は「プロパガンダとしての反証実験」をするのはアリだと思う。
ただこの場合、科学的正確さをある程度担保しておく必要がある上で(エセ科学を批判するのだから、科学的考察に隙を作るのは賢い方法ではない)、相手の宗教性をひっくり返すだけの説得力を持たせないといけないわけで、これは結構難しいのではないか。

仮に「再現可能な環境下で」「資意的に結晶を選択せず」「良い・悪いと彼らが挙げている十分な種類の言葉を並べて」「統計的に十分な数で」と言う科学的な反証実験をしたとする。しかし本当の問題は「この結果によって水伝で受けた以上の失望を与えられるか」という点だということ。
例えば学校の現場からは「水伝で授業をしたら実際に子供の悪口が減った」と言う声があるわけで、「科学的に正しくないんだよ!」と言うことを証明したところで、「なるほど、でもお話としては有用だから使ってもいいよね?」と言われたら説得するのが難しい。

水伝のケースは、ポエムを科学的手法で批判してもポエムを信じている人には届かないという根本的な問題に加え、だからといってポエムをポエムで批判してしまうのでは科学の擁護が出来ない、と言う矛盾を孕んでいる。言えるのはせいぜいが「水なんかに善し悪しを委ねちゃ駄目だよ」と言うあまり心に響かない言葉程度しか無いのではないか。
現実社会で批判として有効なのは、恐らく「江本氏に犯罪歴がある」「江本氏が本の売上げをカジノですった」みたいな、一杯のかけそばの時にもあったような馬鹿馬鹿しいゴシップなんじゃないかと思う(もちろんそんな事実は無いので念のため)。

そうしたわけで結局、この話は「科学」という人類が進歩させてきた方法論によって導かれる「過去の積み上げがあるので検証の必要が無い事例がある」と言う事を理解してもらうしか最終的な解決方法はない。科学の論理的帰結性が非常に大切なのだと言うことを学んでもらうのが先なのだ。エセ科学は水伝に限った話じゃないし、そうした「科学的思考方法の素養」が無いから「あるある大辞典」みたいな馬鹿番組に影響力が出てしまうわけでもある。じゃあどうやってそれを学んでもらうのかという点については答えが無いのだが…。

*3  余談、もしくは「水」ではないなにかならば、と言う話

結局これは、江本氏も「水」なんていう構造が簡単なものを引合いに出したのが批判を受ける元なのだ。「花は答えを知っている」という事にして、花にやさしい言葉をかけると... と言うのは今までもよくあるか。じゃあ「子供は答えを知っている」と言うことにして、産まれたばかりの子供に罵詈雑言を浴びせ続けるのとやさしい言葉をかけつづけるのの比較実験を...

*1  分裂勘違い君劇場 - 「人は必ず死ぬ」はどこまで本当か?

元記事は途中から発散してしまっているが、不老不死の話を頑張りたいのならその手の SF を一通り読むのも面白い。特に「ターミナル・エクスペリメント」辺りをお薦めしたい。知性の永遠性と言う視点では「ディアスポラ」もいい。星新一のショートショートでは(題名を失念したが)、将来での復活を信じて仮死状態になったが、未来では「安全な死後の世界への移行」が実現し、誰も不老不死など考えなくなったために仮死状態の人だけが幸せな死後に行けなくなってしまう、なんていう話もあった。

さて、SF での不老不死では大体よくある段階として以下のようなものになる事が多い。
  1. クローンや機械の体など、肉体交換による延命(脳に寿命がくるので不死にはなれない)
  2. ナノマシンによる修復(壊滅的な事故に弱い)
  3. 人体の電子化(人類システムの滅亡に弱い)
  4. 精神のエネルギー生物化(大抵は最終段階。宇宙滅亡の弱い?)
現時点で一番現実的な(延命ならぬ)永遠の命は電子化だと思うが、一番問題になるのは「自己」とはなんだろうという哲学的な部分ではなかろうか。脳さえあれば臓器を入れ換えていっても「自分」のままなのだろうか。老化しない薬・機械を使ったとき、「自分」は「自分」のままでいられるのだろうか。これらについては脳に対する研究がもっと進む必要があるのかもしれないが、端的な解答は士郎正宗「攻殻機動隊」の最後で人形使いと融合した草壁素子の、「自己とは常に変化しつづけるもの」と言うものかもしれない。

と、SF ばかり引いたけど哲学はこうした問題になんらかの回答を出しているのかな。

スパイラル周期表

Posted by yoosee on Clip at 2006-10-26 23:42 JST

*1  MAKE: Blog: Periodic table gets a makeover

The Periodic Spiral envisions a remedy to the flaws in conventional periodic tables by illustrating hydrogen"s ambiguous relationship to the noble gases and halogens while recognizing its relationship to the alkali metals; it also fully integrates the lanthanons and actinons into the design.MAKE: Blog: Periodic table gets a makeover
水素(H)を中心にスパイラル型に配置した周期表らしい。リンク先のサイトでは Shockwave を使ったアプリとして動いていて、各元素の説明を見たり族での絞りこみが出来るようになっている。元素の組合せで分子を作る機能は商用版のみのようだが、色々いじるだけでも結構楽しめる。通常の 元素周期表 と比べるとランタノイドやアクチノイドがきちんと扱われるのは美しいが、「最外殻電子数による元素の特徴」という元来の視点がうまく機能していない気もする。デザインとしては面白い。この手の新しい元素周期表は探してみると色々あるのだな。

青い薔薇

Posted by yoosee on News at 2004-06-30 23:42 JST

*1  世界初、「青いバラ」の開発に成功

へー。まぁこれまでみたいに交配では無理でも、遺伝子いじれば当然出来るよねという感じがしなくはない。

なぜサントリーなのだと思ったけど、サントリーって Suntory Flowers と言う会社を持っていたり、青い薔薇は元社長の遺言だったりと花作りに力を入れている会社らしい。青い薔薇を開発する動機となっているのは
ウイスキー作りのお手本としたスコットランドのシンボルカラーは青だが、イギリスの国花のバラに青色がなく、このバラを開発して恩返ししようと、90年から開発に取り組んできた。
と言う事のようだ。なるほど。

*2  黒薔薇の花言葉

知っておるのか雷電!

ちなみに青い薔薇の花言葉は「不可能」だったらしいけど、今回不可能じゃなくなったって事で他の意味に変わるのかな。

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World Wide Walker は yoosee による blog です。PDA, Web・サーバ技術, 美味しい食べ物などの話題を取り上げています... read more

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